「リノベーション」という言葉を聞いたことがありますか?
一般的には、建物に大掛かりな修繕工事を行うことで、新築のときよりも価値を高めることを意味します。
「リノベーション」は住宅やマンションだけではなく、工場でも行われることがあります。工場をリノベーションすると、新たにどんなものができるのでしょうか?
今回は、工場をリノベーションして新たな命を吹き込まれた建物をご紹介します。
工場をリノベーションしてカフェへ
リノベーションの代表例としてよく取り上げられるのが「カフェ」です。ここでは古い工場をリノベーションして、個性豊かなカフェとしてよみがえった3つの店舗についてお伝えします。
MORIHICO.
北海道札幌市にあるカフェ「MORIHICO.」のプランテーションは、ボイラー工場をリノベーションして営業しています。この店の特徴は、焙煎(ばいせん)の様子を見物しながら、煎り立てのコーヒーが飲めること。200坪の広い店内に入ると、焙煎窯が出迎えてくれます。オススメは、焙煎の一部始終を見渡すことができる2階席。工場の三角屋根を活かした屋根裏部屋では道内の作家が作った陶芸品やアクセサリー、パンやジャムを販売しており、アコースティックライブ、ワークショップなどが行われることもあります。
・MORIHICO.
http://morihiko-coffee.com/
ベーカリーカフェ レンガ
群馬県桐生市のベーカリーカフェ「レンガ」。大正時代に建てられた「のこぎり屋根」が特徴の織物工場がカフェに生まれ変わりました。100年の時を経て今も桐生市に残る「のこぎり屋根」の工場跡は、イギリスを起源としたレンガ造りの建物で、国の登録有形文化財に指定されています。飲み物のほかに軽食メニューがあり、お店のウリである天然酵母のパンもオススメ。オープンテラスでは、ペットと一緒に時間を過ごすことができます。カフェとしてはもちろん、パン屋さんとしても人気のお店です。
・ベーカリーカフェ レンガ
http://www.kiryu-renga.jp/
SOUL TREE
東京・二子玉川。廃墟となっていた古い鉄工所が、半年間の大工事を経て命を吹き返し、レストラン&カフェ・バー「SOUL TREE」として生まれ変わりました。トタンで覆われた建物内は、1階がカフェバー、2階がデザイナーでもあるオーナーのオフィスと住居になっています。1階は、天井が高く鉄工所の面影が残る広々とした空間で、アンティークの家具や小物などが置かれています。また、2階のデザインスタジオと工房で作られた雑貨も販売。大きな本棚には「図鑑」「写真集」「家具のカタログ」「絵本」などがあり、自由に読むことができます。
・SOUL TREE
http://garageworks.jp/
工場から住宅へ
工場をリノベーションして住居空間となった物件を2つ紹介します。
WALL apartment
以前は靴工場だった「WALL apartment」。不動産サイト「東京スタイルCC」内で、建築家、デザイナー、カスタマイズ希望者を募り、全24室違うコンセプトやデザインでリノベーションされました。スタイリッシュなデザイナーズ物件に、趣味や生活スタイルが反映された、ほかにはない自分らしい空間を実現。ニーズに合わせた内装だけでなく、共用部分にもこだわりがあります。たとえば、壁面庭園やエントランスのチョーク壁画。さらには、ハーブや野菜が栽培できる緑化テラス、隅田川の花火やスカイツリーが見渡せる露天風呂付きの屋上など、個性的な施設が充実しています。荒れ果てていた工場が憧れのデザイナーズ物件へと変貌を遂げた、リノベーションならではの物件です。
・WALL apartment
http://tokyo-style.cc/
高津の工場リノベーション
川崎市高津区にある築43年の元部品工場を、住みやすい住居としてリノベーションしました。もともと1階が部品工場、2階が工員さんの住まいになっていたのですが、トイレが離れていたり、お風呂がなかったりと少し不便でした。そこで1階の工場部分をアトリエとオフィス、2階を家族が暮らせる家として作り替えました。
・高津の工場リノベーション
http://www.unicodesign.net/works.html
工場リノベーションのメリット
工場をリノベーションして使うことには、3つのメリットがあります。
メリット1「費用」
建て替えるより安く済みます。工場を壊して更地(さらち)にするだけでもかなりの費用がかかります。そこに新たに違う物件を建てるとなると相当な額に上るのは間違いなく、費用面を考えればリノベーションのメリットは大きいといえます。
メリット2「有効活用」
広々とした廃工場をそのまま放置しておくのは、もったいないものです。広い敷地がある分、自由な発想でデザインし直すことができ、さらにオフィスを併設できるのもメリットです。廃工場のリノベーションはとても魅力的だといえるでしょう。
メリット3「地域活性化」
リノベーションは、地域の活性化につながります。東京の湾岸エリア・日の出にある「TABLOID」は、印刷工場をスタジオ、オフィス、アトリエなどが入った複合施設へとリノベーションした物件です。いろいろな分野のクリエイターに貸し出すことで、新たな文化やワークスタイルが生まれ、周辺地域が元気になっています。
工場リノベーションのクオリティと完成度
リノベーションというと、一般の住宅やマンションをはじめとした古民家や倉庫を、カフェなどの商業施設につくり変える例が知られています。工場にもいろいろなリノベーションの形があり、それぞれに評判を呼んでいます。廃工場が、その面影を残しつつも新しく生まれ変わった姿を見ると、利用者も自然と心が躍りますよね。もし工場をリノベーションした建物が近くにあるという人は、一度足を運んでみてはどうでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部