チョコレートといえば、甘かったり、ほろ苦かったりと魅力たっぷりで、ついつい口に運んでしまう魅惑のスイーツですよね。
そんな魅力たっぷりなチョコレートがどんな原材料で作られているのか、その原材料はどこで作られ、どのような工程を経てチョコレートになるのかご存じでしょうか?
チョコレートには意外な秘密がありました。今回はチョコレートの製造工程や見学できるチョコレート工場をご紹介します。
チョコレートは何からできているの?
チョコレートには、ダークチョコレートやホワイトチョコレート、ナッツやフルーツが入ったものなど、たくさんの種類があります。しかし、種類は豊富でも、元になっている材料は同じです。チョコレートの原材料や成分についてお伝えします。
チョコレートの主原料「カカオ」とは
カカオは、湿度が高く、平均気温が27℃以上で1年を通して気温の変化がほとんどない地域で栽培されることが多い熱帯植物です。日本ではほとんど栽培されておらず、多くをガーナから輸入しています。ガーナはカカオの生産量が世界トップレベルの国で、日本で発売されている「ガーナチョコレート」の名前の由来になっています。
カカオは樹に花が咲いて果実がなりますが、チョコレートになるカカオはその果実ではなく、実の中に入っている種子です。種子を発酵、乾燥させてから世界各国に輸入しています。
チョコレートに含まれる成分とは
チョコレートは甘くて糖質や脂質が高いイメージがあります。女性なら「ダイエットの敵」というふうに思いがちです。しかし、カカオには、身体にうれしい成分がたくさん含まれています。たとえば、筋肉をつくるタンパク質や便の通りを良くする食物繊維。さらに「カカオポリフェノール」には、動脈硬化を予防する作用やストレス緩和、血圧低下などの効果があると指摘されています。
日本のチョコレート事情
日本のチョコレートの国内生産量は年々増加しています。30年ほど前に比べると現在では約1.5倍になっています。それに合わせて日本から世界各国への輸出量も増加しています。一方、同時に輸入量も増えているので、現在では国内のスーパーでも外国製のチョコレートを目にする機会が増えてきています。日本人は一人あたり年間平均約2kgのチョコレートを消費しています。日本ではそれほどチョコレートが愛されているということですね。
また、埼玉県の製菓会社が国産カカオを使ったチョコレートの開発に成功したというビッグニュースが報じられました。この製菓会社が2010年から小笠原諸島・母島でカカオ栽培の研究を続けていたもので、13年10月には「東京カカオ」と名付けられた初カカオを収穫。16年2月、チョコレートの開発成功が発表されました18年には東京カカオを使ったチョコレートの発売が計画されています。
チョコレートの製造工程ってどうなっているの?
チョコレートは、たくさんの製造工程を経て私たちの元に届いています。
焙炒(ばいしょう)
まず最初の工程は焙炒(ばいしょう)です。110℃〜120℃の高温でカカオ豆を炒ることによってカカオ豆特有の香りを引き出します。
分離
焙炒でカカオ豆の香りを引き出したら、豆を砕き、皮などを取り除きます。この工程を分離といい、分離が終わった豆を「カカオ・二ブ」といいます。
配合
チョコレートの風味を良くするために複数のカカオ・ニブを混ぜる工程を配合といいます。どんなチョコレー卜を作るかによって混ぜるカカオ・ニブの種類は変わります。
磨砕(まさい)
配合し終わったカカオ・ニブをすりつぶしてカカオマスにする工程を磨砕といいます。カカオマスは、カカオ・ニブに含まれているココアバター(脂肪分)をすりつぶすことでドロドロの状態になっています。また、カカオマスからココアバターを絞り出して細かい粒子状にしたものがココアパウダーです。
混合
出来上がったカカオマスにミルクや砂糖、ココアバターなどを混ぜる工程を混合といいます。この工程ではミルクや砂糖の量を少なくすればビターチョコレートに、ミルクや砂糖をたっぷり入れるとミルクチョコレートになります。また、カカオマスを使わずにココアバターに砂糖や粉乳、香料を混合するとホワイトチョコレートになります。
本来ビターチョコレートは苦味が強く食べることはできません。そのため、市販で売られているビターチョコレートやブラックチョコレートは、正確には「ビターチョコレート風味のミルクチョコレート」なのです。
精錬
混合されたものを滑らかな状態にしたあと、よく練り上げます。チョコレート特有の甘く香ばしい匂いが生まれる大切な工程です。
調温
精錬したら温度を調節してチョコレートに含まれているココアバターの結晶を安定させます。こうすることで味にバラつきのないチョコレートに仕上がるのです。また、調温が終われば型に流し込み、冷やして固めます。
熟成
冷やして固まったチョコレートは包装されたあと、温湿度を調整した倉庫内で一定の期間をかけて熟成させます。こうしてチョコレートが完成します。
チョコレート工場の見学に行こう!
ここまでチョコレートのお話や製造工程を紹介してきましたが、せっかくこれだけの知識を詰め込んだら、実際にチョコレートを作っているところを見てみたいですよね。そこで、見学ができるチョコレー卜工場を紹介します。
明治製菓の坂戸工場(埼玉県)
坂戸工場では「ミルクチョコレート」と「ブラックチョコレート」の成型から包装までの工程を見学できます。この工場では、カカオ豆の処理から生産を行っています。
http://www.meiji.co.jp/learned/factory/sakado/visit.html
ロッテの浦和工場(埼玉県)
この工場では「ガーナミルクチョコ」をはじめ、「パイの実」や「コアラのマーチ」などを生産しています。また、「クーリッシュ」や「雪見だいふく」といったアイスクリームの生産も行っています。日本有数の生産規模を誇っていることもあり、夏休みや冬休みには多くの人が訪れます。
http://www.lotte.co.jp/entertainment/kengaku/urawa.html
森永製菓の鶴見工場(神奈川県)
鶴見工場ではチョコレート菓子の「小枝」や「ベイク」などを生産していて、見学に行くと包装工程を窓越しに見ることができます。また、工場見学後には工場内の売店「エンゼルショップ」でお買い物ができます。
https://www.morinaga.co.jp/factory/visit/tsurumi/index.html
美と健康の両面で注目されるチョコレート
美味しさだけでなく、健康面からも注目度の高いチョコレート。最近では、カカオ含有率70%以上で低糖のダークチョコレートにアンチエイジングやダイエット効果があるとして、美容に関心のある女性から人気になっています。チョコレートの命はカカオ。その製造工程に興味を持った人は、ぜひ一度工場見学に出掛けてみてはいかがですか?
制作:工場タイムズ編集部