突然ですが、皆さんは「工場夜景」という言葉をご存知でしょうか?
炎や煙を噴く煙突、絡み合った配管など、昼間には無機質な風景であっても、夜になると煌びやかな光景へ一変…「廃墟」にも通ずる神秘的な姿。2008年に川崎でツアーが行われたことで工場夜景は注目を浴び、今では観光資源として「工場夜景サミット」が複数の自治体で開かれるほど。
工場は、国のモノづくりを支える重要なインフラ拠点ではありますが、実は国の「観光資源」にもなっているんですよね。そこで今回は、そんな工場ファン心をくすぐる、エモい工場シーンが出てくるメディア作品を多数ご紹介していきます!
工場ファン必見! 工場シーンが登場するメディア作品
何気なく観ているとつい見過ごしてしまいがちですが、工場が舞台になっているものや工場自体がテーマになっている作品は少なくありません。
ちょっと視点を変えてみると、機材や設備、設定などがかなり細かく作りこまれていて「工場」を中心に作品を鑑賞することで、いつもと違った楽しさを味わえます。
これから紹介する作品はいずれも工場が舞台となっており、知名度が高い作品も含まれます。皆さんも、何本かは一度目にしたことのある作品かもしれませんね。ではでは…もったいぶらずに本題に入りましょう!
知っている作品や他にも工場が出てくる作品があったら、是非教えてくださいね!
下町ロケット(ドラマ)
工場シーンが出てくるドラマといえばTBS系の「下町ロケット」。
原作は池井戸潤の小説で、1作目は2015年、2作目は2018年に放送されました。
あらすじ紹介
主人公・佃(つくだ)航平が社長を務める佃製作所が舞台。佃航平は、宇宙開発機構で研究員として働いていたが、ロケット用エンジンセイレーン開発失敗の責任を取る形で研究員を辞める。そして、佃製作所の社長をしていた父親の死をきっかけに家業を継ぐことに。
佃航平は、宇宙開発機構で勤務していた経験をもとに、高い技術力で精密機器を製作する方針を固めます。売上げは伸びていくが、その矢先に大手取引先から取引の中心を言い渡されたり、銀行から融資を断られたりと次々に苦難が訪れる。
けれど佃航平をはじめ佃製作所の従業員たちは、会社を守るために技術者としてのプライドをかけて新たな開発に挑んでいく…。
モノづくりへの熱き情熱
いやぁ、あらすじを読むだけでもアツいですよねぇ。ストーリーとしては、困難が訪れるけど最後にはうまくいくという、よくある展開かもしれない。
ただ、このドラマの見どころともいえる、彼らの逆境に負けないアツい気持ち、そしてモノづくりへの情熱が多くの視聴者を虜にしたのです。
SNSなどでも「中小企業が日本を支えていると感じた」「展開は読めるけど、楽しめた」などと好評で、平均視聴率が18.5%という記録を残しました。
『ロケットエンジン』の迫力をご堪能あれ
展開も熱いけれど、製造現場のシーンも見所満載です。ロケット用エンジンの製造・開発を行う現場がメインなので、迫力もあるし、何度も試行錯誤を重ねる様は胸を打つものがあります。
日本には、ドラマに出てくる「帝国重工」のような大企業はたくさんありますが、「佃製作所」のようにモノづくりを行っている中小企業も多く、彼らが日本を支えていると言っても過言ではありません。
そう考えると「下町ロケット」のような出来事って、町工場では珍しいことではないのかもしれませんね。
ぼくらの七日間戦争(アニメ・映画)
工場が舞台のアニメ・映画で有名なのは「ぼくらの七日間戦争」。
1985年に宗田理が書いた小説が原作です。
当時、中高生を中心に話題になり、1988年には宮沢りえ(当時14歳)の初主演で実写映画化されました。そして、2019年にはアニメ映画が公開。
物語は、成長期真っ只中の中学生たちが、大人による管理教育に反抗するところからはじまる。廃工場に立てこもり、大人たちへの逆襲劇を繰り広げていく。
廃工場 × 大人に抗う中学生達
「廃工場」という響きがエモいですよねぇ。
アニメ映画では炭鉱跡が舞台になっていますが、製作した村野佑太監督によると、今の中高生たちとは違う時代、場所をあえて選んだとか。その方が非現実的な7日間を過ごすには楽しめると考えたらしい。
中高生って、子供と大人の中間で、大人にちょっと干渉されたり管理されたりするだけでも、嫌になるんですよね。心当たり、ありません…?
でも、家出をしたり立てこもったりするなんて、現実的に考えると難しい。それを実行しているというだけでちょっとスッキリするし、非現実的な場所ということでさらに惹き込まれるんですよねぇ。
監督こだわりの『廃工場』の演出に注目!
本作品の舞台は薄暗くて汚いイメージが強い廃工場ですが、空中に舞う埃がキラキラと光っていて、工場が生きているように描かれています。
これは、監督が「工場を8人目のキャラクターとして、感情を持っているように描いてほしい」と、撮影や背景のスタッフに依頼したからなんです。こういう細かい演出がエモいし、惹き込まれてしまいますね。
ほかにもたくさん! 工場映画・工場アニメ
工場シーンが舞台の映画・アニメは、これだけではありません。たとえば、ティム・バートン監督でジョニー・デップ主演、興行収入53.5億円を記録した「チャーリーとチョコレート工場」。
そして、西野亮廣が脚本・監督を務めた工場夜景を連想させる「えんとつ町のプペル」。このようなフィクションを楽しむのもアリですね。
また、工場がメインではないものの工場勤務をしている主人公の境遇やダンス、そしてミュージカル調の演出に惹き込まれる「ダンサーインザダーク」もおすすめです。
とろける鉄工所(漫画)
最後は漫画からのエントリー。
工場が舞台となった漫画で、野村宗弘作の「とろける鉄工所」という作品があります。
地方のある村にある「のろ鉄工」という鉄工所でモノづくりに携わる溶接工たちの物語。溶接工というと少し専門的で堅い内容に感じますが、コメディタッチで描かれているので、とにかく読みやすい。
サクサク読めて、おまけにちょっと雑学も増えて、ギャグ漫画としても面白い。そんな気軽に読める作風が「とろ鉄」の魅力でもあります。
『目玉焼き』って知ってる?
日頃使っているもののなかには溶接によって作られているものも多いけど、溶接工の仕事ってよく知らないという人も多いはず。テレビなどで溶接をしている姿を見る機会があっても、なんか簡単そうに溶接しているように見えますよね。
でも、実は溶接にはいろんな種類や技法があって、きれいに溶接するのもすごくテクニックが必要なんですよ!それに、溶接の仕事はリスクもあるし、つらいことも多い…。そんな溶接に携わった人にしかわからないことも、学べる作品になっています。
「目玉焼き」も本作品で登場する業界用語の一つ。もちろん、卵をフライパンで焼いた「あの」目玉焼きじゃないですからね! 気になる方は、是非、本作品を手に取ってみてください。
作者は溶接工経験者
実は、作者の野村宗弘自身、鉄工所で溶接工として働いていた経験者。だからこそ、溶接工の日常やモノづくりについてリアルに描いてあり、読者の心にも響く作品になっているんでしょうね。
実際に読んだ人の感想では「溶接のことがわかって面白い」という声も多いです。「とろ鉄」を読み終わって、溶接されたものを見たときには、溶接工の方々に「ありがとう」と言いたくなる作品です。
まとめ
いつも観ている作品でも、ストーリーではなく「工場」「モノづくり」という視点で観るなど、観点を変えるだけで新しい楽しみ方ができますね。
今回紹介した作品以外にも、名探偵コナンの映画作品「ゼロの執行人」のエンドロールでは、工場シーンがでてくるとかなんとか。まだまだ、きっと探せばたくさんあるんでしょうね。また、紹介したい作品が増えたら続編を出しますのでご期待ください。
もしエモい工場シーンが出てくるドラマや映画、アニメなどを見かけたらTwitterで教えてくださいね!
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!
制作:工場タイムズ編集部