流行りのお菓子って、コンビニでも売られているからついつい買ってしまいますよね。「今流行り」と聞くだけで食べてみたい気持ちになります。
全国各地の銘菓も見かけたら買いたくなるし、最近ではインターネットでも簡単に取り寄せることができるから、本当に便利な世の中です。
さて、そんな全国各地の銘菓や流行りのお菓子、どんな製法で作られているか皆さんは知っていますか? 全部機械で全自動と思いきや、実はそうでないお菓子って結構あるんですよ。というわけで、今回は昔から親しまれているあの有名な銘菓や今流行りのお菓子の意外な製造工程に迫ります!
意外な製造工程で作られていた銘菓や流行りのお菓子特集
銘菓や流行りのお菓子など、どんなお菓子にも共通しているのは、もともとは職人さんの手づくりによって作られていたということですよね。
工場で大量生産されるようになっても、その手作りの精神が受け継がれているお菓子はたくさんあります。なかには「そんなことやってたの!? 」と驚くような製造工程のお菓子も。
では、さっそくどんなお菓子が登場するのか、その製造過程を見ていきましょう。
桔梗信玄餅
1つ目はこちら。山梨の代表銘菓、株式会社桔梗屋の「桔梗信玄餅」。お餅ときな粉と黒蜜の相性が抜群で、何個でも食べられます。最近では「チロルチョコ」や「ガリガリ君」「雪見だいふく」など、いろんな製品とコラボしていますよね。
桔梗信玄餅が作られているのは山梨県にある本社工場。製造工場では、黒蜜をタレビンに入れる、お餅を作る、きな粉をまぶすなどの工程が機械によって行われています。
この工程のなかでも、黒蜜をタレビンに詰めるための機械が特注機だったり、包装は手作業だったりするなど、すごくこだわって作られているんですよ!
番重の中で眠ること2日間
信玄餅は加工の工程で餅を切りやすくするため「番重」で1〜2日間寝かされます。「ばんちょう(番長)」ではなく「ばんじゅう」と読みます。番重とは、薄型の運搬容器の総称。両手で抱えるくらいの大きさの、クリーム色のアレです。給食のパンが載ってるやつ(伝わってw)。
そして、気になるのは「なぜ寝かせるの?」という話ですよね。寝かせたら、餅が乾燥してしまい、固くなってしまうような気がします。でも、それにはきちんとした理由があるんです。
答えはいたってシンプル。つきたてのお餅が柔らかすぎて、機械で上手くカットができないから。てっきり特殊な機械を使って切っているのかと思ったら、意外とアナログな製法だったみたい。
また、「寝かせる」ことでおいしいと感じる弾力が生まれるんだとか! ちなみに、番重一枚で桔梗信玄餅150個位のお餅が取れるそうですよ!
職人技「6秒包装」
桔梗信玄餅の製造工程で意外だったのは、これだけではありません。桔梗信玄餅の特徴でもある、ビニールの風呂敷を使った包装。
実は、このビニールの風呂敷で包む作業は、人間の手で行われているんです。ラインから流れてきた桔梗信玄餅をたくさんの従業員が、1つ1つ丁寧にビニールの風呂敷を結んでいます。
風呂敷は1つにつき2回結ばれているんですが、熟練になると、この2回結びにかかる時間は6秒ほどなんだとか! 驚きのスピードですね! 皆さんもどれだけの時間で結べるか、試してみてはいかがでしょうか。
赤福餅
続いて紹介する銘菓は三重県伊勢市の株式会社赤福が製造・販売する「赤福餅」。
赤福餅は、伊勢神宮神域を流れる五十鈴川のせせらぎをイメージして作られたもので、お餅は川底の小石、餡につけられた三筋の形は清流を意味しています。
店舗やオンラインショップなどで買える赤福餅は、餡もお餅も包装もすべて工場で機械によって作られています。ある意味、あの三筋の形も機械で作られているのは意外ですよね。
「清流の模様」はこうして作られていた
ちなみに、この赤福餅、本店の店内で食べられるものは1つ1つ手作りされているんです。手作りしているのは「餅入れさん」と呼ばれる女性の職人さんたち。長い人だと40年以上になるそうです。
でも、どうやって「あの清流の模様」に成型しているのか気になりませんか? 実は、あの形、餅入れさんの指の跡でできているんです!
手で餡をかき集め、その中に餅を包んだ後に四本の指でグッと押して整形しているんです。指の溝がちょうどいい具合に3本線をつくってくれるというわけ。てっきり、型やヘラを使ってるものだと思ってました。
カヌレ
今流行りのお菓子といえば「カヌレ」。実は1995年にもカヌレブームはあったのですが、また再燃しているんですよね。コンビニでもスイーツコーナーにカヌレが並ぶようになりました。
カヌレの正式名称は「カヌレ・ド・ボルドー」。「ボルドー地区の溝の入ったお菓子」という意味で、ボルドー地区の女子修道院で古くから作られているお菓子です。
ワイン製造の副産物だったの!?
このカヌレが生まれたきっかけは、実はワインの製造工程に関係があるんです。ワインを作るときには、渋みのもととなる「タンニン」を卵白を使って取り除きます。
この工程を行うことで、美しく透き通ったワインになるんです。ただ、この工程には大量の卵白を使うので、卵黄だけが余ってしまう…。その卵黄を救済するために生まれたのがカヌレなんです。
よく考えると、カヌレを作るには全卵のほかに卵黄も使いますよね。なんで全卵だけではダメなんだろうと思っていましたが、もともとはワイン製造の副産物だったからなんですね!
ブーム再来により、卵白が余る事態に
最近では、カヌレを作るために「卵白が余る!」と悩む声も。もともとはワインの製造工程で残った卵黄を使うために生まれたのに、今度は卵白が大量に余るという…これでは本末転倒。
そこで、皆さんあれこれ工夫しているようなのですが、その中でも多いのは、カヌレ作りで余った卵白をシフォンケーキのメレンゲに使用するという素敵なアイディア…!
素晴らしいですね。幸せを呼ぶスイーツが連鎖を生んでいる! もちろんシフォンケーキ以外にも卵白の使い道はありますが、シフォンケーキは卵白を大量に使用するので、卵白処理にはもってこいのデザートなんです。シフォンケーキとカヌレに、そんな繋がりができていたとは。
まとめ
全国各地の銘菓も流行りのお菓子も、製造行程を深堀りしてみると意外な発見があるものです。
普段食べるときはあまり意識しないかもしれませんが、その製造過程の裏に人々の知恵や技術がたくさん込められていると考えると、一味違った楽しみを見出せそうですね。
皆さんも、意外な製法でつくられているお菓子や銘菓を知っていたらぜひ教えてください!
制作:工場タイムズ編集部