旅行に行ったときにいつも買うお菓子。<br> 地元で昔から有名で、お茶菓子としてよく買っているお菓子。
その土地に当たり前のようにあるものだけど、どうやって作られているのかということまでは知らない人も多いはず。
流行りのお菓子だって、発祥や製造工程までは知らないことが多いですよね。そこで今回は、銘菓や流行りのお菓子の意外な製造工程を特集します!
あの有名銘菓や流行りのお菓子は意外な製造工程で作られている!?
日本各地にはたくさんの銘菓があり、行ったことがなかったりよく知らなかったりする地域でも、そこの銘菓だけは知っていることもありますよね。
またトレンドの変化が速い現代では、流行りのお菓子も次々に登場しています。実は日本各地の銘菓や流行りのお菓子は「えっ!? 」と思うような工程で作られていることも結構あるんですよ。
ということで、本記事では意外な製造工程で作られている、あの有名な銘菓や流行りのお菓子・スイーツを紹介していきます。
三方六(さんぽうろく)
1つ目はこちら。北海道の帯広銘菓、柳月(りゅうげつ)の「三方六(さんぽうろく)」。帯広では、バターサンドで有名な「六花亭」と並ぶ人気のお店で、柳月は朝ドラ「なつぞら」に出てきた「雪月」のモデルともいわれています。
三方六は、バウムクーヘンを縦に切って、ちょっと太いスティック状になっています。一般的なバウムクーヘンの形とは違うけど、これはこれで食べやすい!
柳月では、三方六を製造するときはほとんどの工程で機械を導入しています。バウムクーヘンを焼くときも、カットするときも。
作業台には丸い穴が空いていて、そこに放射状にセットされた4本の刃があり、台が少しずつ上がると同時に、セットしたバウムクーヘンが綺麗に8等分でカットされます。この手の製造工程って、無心でいつまでも見ていられますよね…あの現象に名前はあるのだろうか。
一期一会の白樺模様
三方六のもう1つの特徴でもある、白樺模様のチョコ。このチョコがけは、職人さんが1本1本手作業で丁寧に行っています。
ホワイトチョコレートをまとったバウムクーヘンに、水鉄砲で水をかけるみたいに普通のチョコレート(茶色)をかけていくんです。つまり一期一会。二度と同じ柄の三方六とは出会えないのです。
柳月が運営するスイートピア・ガーデンでは、この三方六の製造工程が見られるようになっています。タイミング次第ではチョコがけをする工程も見られるかもしれませんよ!
松風(まつかぜ)
続いて紹介する銘菓は熊本県菊池市の銘菓「松風(まつかぜ)」。「日本一薄い和菓子」として有名ですよね。松風はいろんな会社で製造・販売されているのですが、なかには厚さ1.2mmの極薄松風を製造する会社もあるらしく。
松風のケシの実の香ばしい香りと、あの薄くてサクサクとした食感。手が止まらなくなるほど美味しいんですよね! でも、あの薄いお菓子はどうやって作られているんでしょうか?
とにかくスピードが勝負
創業当時は手作業で行っていたものの、最近では機械を導入して製造している会社が多いようです。ただ、日本一薄い和菓子といわれるくらいなので、単純に焼くだけではあの形状にはなりません。
松風は形状が薄いため、焼き上がったあとはすぐに冷めてしまいます。そのため、生地の流し込み・焼成・カットの工程を一気に行える機械が使われているんです。
「平らであること」が松風のアイデンティティ
そして、松風といえば板ガムのように平らな形も特徴ですよね。冷めるときに曲がってしまうと、その状態で固まってしまうから松風ではなくなる…。
それを防ぐために、焼き上がったあとは布を引っ張るようにしてカットしているんだとか。わざわざそのために機械を設計しているくらいなので、相当なこだわりを持っているのでしょうね!
ただ、こうして薄くて平らに焼けるのは、熟練の職人さんが季節ごとに材料の配合を変えたり、焼き加減を調整したりしているからでもあるんです。だからこそ、現在でも味も形も変わらず、たくさんの人に愛されるお菓子になっているのでしょう。
金太郎飴
続いては、東京銘菓の「金太郎飴」。皆さんは金太郎飴が東京銘菓だったことを知っていましたか?どこでもよく見かける商品なので、東京銘菓だったとは意外ですよね。
最近では、いろんな会社からキャラクターの金太郎飴も製造・販売されていますが、元祖は東京の金太郎飴本店。実は明治初期から金太郎飴を作っているんです!
金太郎飴は「組み飴」ともいって、目や鼻、口などパーツごとに色をつけた飴を組んで作ります。現在でも、色づけやパーツを組む工程はほとんど手作業。と、簡単に言いましたが、金太郎飴を作るのはかなり大変なんです。
飴に色をつけたり、パーツを組んだりするには、飴が柔らかくないとできません。そのため、飴が熱いうちに行われます。飴が冷えないように、夏場でも冷房なしでやることも…飴づくりは大変!
サクサク触感の秘密
ところで金太郎飴って、他の飴よりもちょっとサクッとした食感がありませんか? あのサクサク感は、精白機という機械で飴をぐるぐると練りまわして空気を含ませているからなんです。
空気を含んだ飴は白くなります。金太郎飴の外側が白いのはこの工程があるから。駄菓子屋さんの水飴を練ったとき、白っぽくなったことありませんか? あれです。
これからサクサク触感の金太郎飴を食べたら「おぉ…空気が入ってるぞ」と実感しながら感触を楽しんでみましょう!
どうやって飴を伸ばしているの?
そして、金太郎飴は各パーツを組み上げたあとに伸ばして作るのですが、最初の大きさはなんと直径約35cm! それを最終的には直径2cmほどの大きさにしていきます。
「コロコロ粘土をこねるようにやるのかな?」と思ったら、さすがにそこは機械でした。 「バッチローラー」と呼ばれる機械を使います。
バッチローラーに入れるために、伸ばしに伸ばして機械のなかへ。すると、大きなローラーが飴をさらに細長く伸ばしていきます。きれいに伸ばされていくから、見ていてとっても気持ちいい。
もちろん、伸ばした後の顔を想定しなければいけないので、細かく計算をして作られています。切ったときはすべてが金太郎の顔ではありますが、1つ1つ表情が微妙に違いが出てくるのも金太郎飴の面白いところですよね。
まとめ
全国各地の銘菓も流行りのお菓子も、製造行程を深堀りしてみると意外な発見があります。
お菓子それぞれに個性があり、それらを生み出すために様々な技術や知恵が生まれてきました。機械化で維持したり手作業を続けたりと、いろんな手法がありますが、いずれもお菓子作りに対する情熱を感じます。
ぜひ、そんなことに想いを馳せながら、日本の銘菓を味わってほしいです!
制作:工場タイムズ編集部