昔懐かしの駄菓子や、コンビニで買えるスナック菓子。お土産で貰って食べたことがある銘菓など、私たちの身近には様々なお菓子があります。
普段何気なく食べているお菓子も、店頭に並ぶまでに工場でいくつもの作業工程がありますが、実際どんな風に作っているのかイマイチ想像がつかないものが多いですよね。
そこで、今回は「大人の工場見学」と題して、筆者がおもしろいと感じたお菓子作りをご紹介します!
そんな作り方してたの? ほっこりお菓子の製造工程3選
近年、「企業発信の工場見学」や、「オンライン工場見学」などが人気を集めており、お菓子が出来上がるまでのストーリーを目にする機会が増えてきました。
製造工程や企業がお菓子に込めている想いを知ることで、自分の好きなお菓子がもっと好きになるかもしれません。
今回は思わずほっこりするあのお菓子の製造工程をご紹介します。工場見学気分で、楽しみながらご覧ください!
銘菓 ひよ子
一つ目は、菓子舗 吉野堂の「銘菓 ひよ子」。ひよこの姿を形どった可愛らしいまんじゅうは、食べる人の気持ちをほっこりさせてくれます。
筆者は東京銘菓のイメージを持っていたのですが、福岡が発祥のようですね。福岡から博多に進出し、九州名物として人気に。満を持して東京に進出すると、東京土産として有名になったようです。
人気のお土産だけに、工場で高速に大量生産されているのかと思いきや、生地からひよこの可愛らしい姿になるまで相当な時間がかかっていることが分かりました!
ひよ子の生地は何日も寝かされている
ひよ子の美味しさは生地作りから。この工程は機械ではなく、実は人の手作業がメインです。卵や砂糖などの原材料を混ぜ合わせ、平らな容器に注ぎ、そのまま一週間寝かせます。
寝かせた生地に、小麦粉を加え大きなミキサーでかき混ぜて完成。このひと手間が美味しいお菓子作りにはかかせないのですね!
餡を生地の中に入れ、丸めながらカットする神業に驚き!
ひよ子はちょうど良い甘さの「黄味餡」が魅力ですが、餡は他の業者から仕入れしています。業者から届いた餡を工場で改めて撹拌し、機械で小分けにカット。
工場ラインにのせて、餡をまんじゅうの生地の中に入れていくのですが、その工程がもはや神業!
まず、餡を生地で包み、機械から押し出します。その時に、出口の両脇にある回転刃でだんごの様に丸めながらカット。機械とはいえその速さとテクニックに驚きです。
この時点では、まだヒヨコどころか玉ねぎのような形をしています。玉ねぎ形のものを機械で高く伸ばし、プレスしてひよこの形に整えた後、焼きの工程に入ります。
つぶらな瞳を目つぶし? して完成
長さ20mもあるオーブンでじっくりと焼き上げたひよ子は、見慣れたこげ茶色に。
次の工程では、美味しそうに焼きあがったひよ子に、チャームポイントである「目」を「焼き印」で入れていきます。コンベアに整列したひよ子が、熱線で次々と焼き印を入れられる光景…ちょっとシュールです。
目を入れた後は、回転するコンベアでゆっくりと冷やされ、作業員さんが目視点検。焼かれたり、冷やされたりと大変なひよ子でしたが、ようやくお馴染みの包み紙で梱包され、箱詰めとなります。
ひよ子作りは、基本的に工場のラインで製造されていますが、スピードもありながら丁寧にしっかりと作られている印象でした。大量のひよ子が整列してラインを移動している姿を見るだけで、ほっこり癒されました!
モロッコヨーグル
二つ目はサンヨー製菓 株式会社の「モロッコヨーグル」です。昔駄菓子屋さんで買って食べたことがある方も多いのではないでしょうか?
小さな容器に入ったクリームを木のヘラで掬って食べる駄菓子で、子どもだけでなく大人世代からも根強い人気があります。
もう少し食べたかった! というサイズ感がちょうど良く、ついリピート買いしがちなお菓子です。
酸味のあるクリームの正体は何なのか?
少し酸味があり、独特のもわっとした口当たりがクセになるモロッコヨーグル。
名前はヨーグルトに近いけど、ヨーグルトでもないし生クリームでもない、このクリームの正体は何なんだろう。と疑問に思ったことはありませんか?
その正体は、「植物性油脂」を2種類混ぜ合わせ、そこに酸味料や砂糖などを加え混ぜ合わせたもの。暑い夏にさっぱり食べることができる駄菓子として作られたのが、はじまりのようです。
町工場でプロフェッショナルが作っている
モロッコヨーグルは、1961年の登場から昔ながらの製法で作られています。
先述した植物性油脂を昔ながらの「分銅秤(ふんどうばかり)」で計量し、手作業で混ぜ合わせるのですが、その光景は古き良き時代を彷彿とさせます。
令和になった現代でも昭和を感じることができる作業工程に心が温まりますよね。
蓋はカラフルな5種類
手作業で作ったクリームを機械で容器に詰め、蓋に熱を加え密封していきます。
蓋の色は5種類。カラフルで子ども心をくすぐる蓋のデザインもモロッコヨーグルの魅力の一つですよね。子どもの頃、駄菓子屋で好みの色を選んだ記憶がある方も多いのでは?
ちなみに梱包されている箱には、味がある象の親子のイラストが描かれており、昭和レトロ好きの心をくすぐります。
コアラのマーチ
3つ目はサクサクビスケットにチョコがぎゅっと詰まった、ロッテ「コアラのマーチ」。美味しいのはもちろん、お菓子に描かれたコアラはお菓子界のアイドル的存在です。
子どもにも大人にも人気のコアラのマーチは、一体どんな風に作られているのでしょうか?
愛されコアラの絵柄はアレで描かれていた?
コアラのマーチは、一つのパッケージに色々な柄のコアラが入っていますよね。食べるとき、一つずつチェックして楽しんでいる方も多いのではないでしょうか?
「焼き跡なのかな?」と予想していたのですが、絵柄は「カラメルのインク」で印刷されているとのこと。絵がついたドラム式の機械からカラメルが出て、生地にハンコのように押していくイメージです。コアラが大量に印刷されていく姿は、とても可愛らしく、これまたシュールな光景でした。
ちなみに、コアラの絵柄は365種類もあるんだとか。 その数に並々ならぬこだわりを感じますね! 職業コアラやイベントコアラまで様々、愉快な姿にほっこり。公式HPで全絵柄を見ることができるのですが、なかでも私はリアルな「ほんものみたいなコアラ」の絵柄がお気に入りです。
皆さんも、是非チェックしてみてくださいね!
型抜きをしてチョコレート注入→見慣れたあの姿へ!
次の工程では、先ほど印刷した生地を機械でコアラ型にカットしていきます。クッキーの型抜きのように次々とカットされていくので、見ていて飽きません。(お菓子製造ライン七不思議の一つ)
さらにカットした生地を並べ、オーブンで焼成。ぷっくり膨らんでいつも見慣れているコアラのマーチの形になります。
美味しそうに焼き上がったコアラの背中から注射針のようなものでチョコレートを注入します。コアラからすると少し痛そうですが、美味しいお菓子になるための最後の試練です。
コアラのマーチは工場のラインで作られていますが、お菓子が作られる様子はとてもユニークで、製造工程を知ることでより一層、愛着がわきました!
まとめ
今回は、可愛らしい姿や懐かしい思い出にほっこりなお菓子の製造工程を3つ紹介しました。
手作り・機械と手法の違いはありますが、作り方に触れることでそれぞれの企業のこだわりやお菓子に込めた熱意を感じることができました!
次にお菓子を食べるときに「このお菓子はこんな風に作られてるんだよ」と友人やご家族に教えてあげても面白いかもしれませんね。
制作:工場タイムズ編集部