ピンクとブルーで表示されたトイレ案内。皆さんはどちらのトイレに入りますか?ピンクを女性、ブルーを男性とする人が多いのではないでしょうか。私たちは過去の経験によって、色と性別を無意識に結びつけています。そのため、色のついていないトイレ表示を見ると、判断を鈍らせてしまうことがあります。
人間が認識できる色は100万色を超え、色別能力にも優れています。私たちは記憶と生活に「色」を結びつけて生活しているのです。本記事では、色に関する面白い事例について紹介していきます。
かき氷シロップの秘密
夏の風物詩かき氷! イチゴ・メロン・ブルーハワイ・レモン…昔ながらのシンプルなシロップは、年代を問わず大人気ですよね。しかしこのかき氷シロップ、実はどれも同じ味付けであることをご存知ですか? 香りづけこそされていますが、原材料はほとんど同じなのだそうです。
かき氷シロップの原材料を詳しく見てみると、主な成分は甘味料にあたる「果糖ブドウ糖液糖」などです。この甘味料に着色料と香料を加えることによってフルーツの味を表現しています。レモンシロップであれば、黄色の着色料とレモンの香料を加えていることになります。
私はこれまで、甘酸っぱい味わいのレモン味のかき氷を好んで購入していました。シロップかけ放題の店では、変わり種の青りんご・マンゴーシロップを追加します。かき氷をクルクルと回しながら一口ずつ味を変えるのが、夏祭りでの楽しみでした。
しかし! 私あるいは皆さんが感じていた「甘酸っぱい味わい」や「味変」は、気のせいだったことになります。たしかに違う味わいだった(気がする)のに、思い込みというのは驚くべきものですね。ここで色の印象操作について行われた面白い実験を紹介しましょう。
色彩と味のイメージを調査した研究によると、このような結果がでています。どれもこれも見知った食品との繋がりを感じさせる結果になっていますよね。ピンクは桃、黄色はレモンでしょうか?これまでの食事経験が、結果に結びついていることが分かります。
宝石言葉と色の秘密
誕生石にはそれぞれ宝石言葉があり、身に着けることで石のパワーを授かれるとされています。結婚指輪にダイヤモンドが選ばれるのも「永遠の絆、純潔、清浄無垢、永久不変」これらの宝石言葉が影響しているのでしょう。
しかし現在では宝石言葉以上に色そのものが与えるイメージが評価され、カラーストーンに人気が集まっています。例えば、落ち着きを手に入れたいのであれば緑、情熱を手に入れたいのであれば赤を身に着けるとよいとされています。色が与える印象は、宝石にも利用されているのです。
誕生石とは
1〜12月までの月ごとにあてはめられた宝石を、誕生石と呼びます。誕生石の起源は定かではありませんが、旧約聖書に登場する胸飾りが関係しているとされています。旧約聖書の主人公であるイスラエル人には12の部族があり、部族ごとに異なる種類の宝石を身につけていたそうです。
時を経て色とりどりの12種類の宝石は、各月に当てはめられるようになりました。1912年にアメリカの宝石業界が、アメリカの誕生石を定めたことを機に、各国で誕生石を定めるようになります。日本では1958年に全国宝石商組合が日本の誕生石を定め、2021年には改定も行われています。
推しカラーの秘密
グループ活動をしているアイドルやアーティストによっては、メンバーごとにイメージカラーを設定するのをご存知ですか?事務所から公式発表されることもあれば、非公式ながらファンによって位置づけられるものもあるようです。イメージカラーは主に衣装やグッズに反映され、推しカラーと表現するファンもいます。
推しカラーがあると、遠目からでも一目で推しを認識できます。ファンはもちろん、初見の人にも分かりやすいですよね。「ピンクの人が〜」とカラーに言いかえることで、話をスムーズに進められるでしょう。今でこそ推し活が話題ですが、実はこれ幼少期の頃から経験しています。
「何色がすき?」「何色がいい?」などの会話を交わしながら、ごっこ遊びを楽しんだ記憶はありませんか。子供の頃に一度は目にしたであろう、スーパー戦隊や少年少女向けアニメでは、主要キャラクターごとにメインカラーが決まっていました。髪・目・洋服などを色分けすることで、それぞれの印象を強化しています。
人物イメージも色という大きな枠組みに納めることで、生活に溶け込ませることができるのです。「推し色だからこっちにしよう」「推し色の〜が欲しい」といった言葉を日常的に聞くようになったのは、色を使った意識戦略に他なりません。
まとめ
今回は、色にまつわる面白い事例を紹介しました。これまで気にも留めていなかったことに、色の効果が隠されていたとは驚きですよね。最近では、色彩心理を利用したカラーセラピーというヒーリングまであります。色の力を利用して、心身のバランスを整えるのだそうです。
グッズ・洋服・髪色など、皆さんは何色のものを使っていますか?同じ色ですか?自分で買いましたか?人から貰いましたか?何気なく使っている物にも、もしかしたら意味があるかもしれません。日常のなかにある「色」を意識して過ごしてみると、面白い発見がありますよ。
制作:工場タイムズ編集部