時代のニーズにより、正社員・契約社員・派遣社員・在宅勤務など働き方が多様化する現代。みなさんはそれぞれの違いをご存知でしょうか。正社員や契約社員は、勤務する企業と直接雇用契約を結ぶのが特徴。一方、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働きます(一般社団法人日本派遣協会HPより)。
派遣労働者の雇用を守る観点から、2015年9月30日に労働者派遣法が改正。「派遣労働者のキャリアアップ支援」や「労働派遣期間制限の見直し」などが義務付けられ、取り組みが行われてきました。
一般社団法人日本派遣協会が行った「派遣社員WEBアンケート調査2017年度」によると、「働く時期や期間を自分で選べる」「すぐに仕事に就ける」「勤務地を選べる」という理由で派遣社員を選ぶ人が多いなか、一方で「雇用の安定度」に関しては「やや不満」「不満」と答えた人は53.7%で、「やや満足」「満足」を上回りました。
こうして調べていくうちに、労働者派遣法が改正される2015年より前から「人材派遣業界の常識を覆す取り組みを行っている会社がある」と判明。しかもその会社は、製造分野のエンジニア・設計開発技術者の派遣を行っており、2017年4月に行われた日経新聞社「伸びる会社MIDDLE200」では200社中総合第1位を獲得した会社だとのこと。これは工場タイムズとしては取材しなければ! と、さっそく噂の企業にうかがってきました。
「正社員雇用(無期雇用)」「社会保険100%加入」など革新的な戦略を展開
業界の常識を覆す風雲児とは、東京都品川区五反田にある「UTエイム株式会社(以下、UTエイム)」のこと。
UTエイムは1995年、若山陽一氏(現UTグループ総帥)が前身となる「エイムシーアイシー有限会社」を神奈川県横浜市に創業したことで、その歴史がスタートします。同社は製造業の構内作業業務請負事業を目的として誕生しました。
1997年、取引先の大手電機メーカーより「工場で勤務する人の定着率が悪く、生産効率が低下している」と相談を受けた若山氏。そこで「派遣社員に技能的な教育を施し、技能が向上するにつれて昇給する仕組み」を提案。その仕組みを自社にも取り入れたところ、定着率や生産効率がアップしたそうです。
さらに、現場で働く派遣社員の雇用期間を制限しない「正社員雇用(無期雇用)」「社会保険100%加入」など、今までの製造派遣業界の常識を覆す革新的な戦略を展開。その後、請負(うけおい)を半導体に特化し実績を重ねていきました。
2011年からは自動車・住宅・デバイス・エネルギーにも領域を拡大。現在、オフィス(研修・採用センター含む)は40カ所以上、社員数は13,000人を超えるまでに成長したUTエイム。社員の経歴は元パチプロや美容師、販売、アルバイトなどさまざまで、なんと社員のおよそ80%は「製造業は未経験」なんだとか! 年齢層は18歳から59歳と幅広い人々が活躍しています。
社員の「イキイキをつくる」。キャリア支援制度
会社創業以来、一貫して「イキイキをつくる」を理念にしてきたUTエイム。「現場の社員が“イキイキ”と働けるように」と、独自かつ多様なキャリア支援制度を充実させているのが特徴です。
同社には、社内で研修を受け、認定試験を取得したキャリアパートナーがおよそ350名所属。社員1人ひとりに専属でつき、半年ごとに面談を行いながら全力でキャリアをサポートする「キャリアパートナー制度」があります。
また「Good Job(グッドジョブ)」という制度は、「社内で職場を異動し、キャリアアップする」というもの。中にはこの制度のおかげで、九州にある大手メーカーの自動車工場で1年半ほど塗装を担当していた人が、上司であるマネージャーに薦められて本社の採用担当になったという例も。
他社への転籍も可能!「NEXT UT(ネクストユーティー)」
もし社員が「他社の大手メーカーで働きたい」という希望がある場合は、キャリアパートナーが他社への転籍サポートを行う「NEXT UT(ネクストユーティー)」という制度に応募できるのもユニーク。キャリアパートナーは常に「社員の人生にとって、最適な選択をしてほしい」という想いを一番大切にしているとのこと。社員にとって一番よい選択を考え、サポートを行っているのですね。
人材紹介業界において「他社への転籍を支援する制度がある」というのは非常に珍しいケースなんだそうですが、社員の将来を本気で考えているUTエイムならでは、といえそうです。
働く人にとって「自分の人生を一緒に考えてくれるキャリアパートナー」という存在や、「NEXT UT」があるのはとても心強いですね!
ほかにも「国家資格を取得してキャリアアップしたい」という人には、「資格取得支援制度」でサポートを行っているそうです。対象となる資格は「機械保全技能士1・2級」や「電気機器組み立て技能士」1・2級など。研修や試験の費用はすべてUTエイムが負担し、全面的にバックアップ。
国家資格を取得すると、社員は給与アップを目指せるのと同時に、会社は高い技術力をもつ社員を輩出できるため、この制度も働き手と会社の双方にとってメリットがあるものだといえますね。
未経験でもエンジニアに挑戦!「One UT(ワンユーティー)」
社員を支援する制度はまだあります。「One UT(ワンユーティー)」は、社内で講習やスキルトレーニングを行い、エンジニア職を希望する社員をサポートする制度。求められるスキルを取得すると、社内で職場を異動できる「Good Job(グッドジョブ)」や、他社に転籍する「NEXT UT(ネクストユーティー)」が可能になります。
実際にUTエイム入社後、現場でタッチパネル用シートの検査を行っていた人が、「One UT(ワンユーティー)」に応募。プログラミングを基礎から学び、3ヶ月でエンジニアに転身したという人もいるそうですよ。
さらにさらに!「マネージャーや役員を目指したい」という管理職志望の人が、社内の重要ポストに立候補できる「エントリー制度」というものまであります。「リーダー総合研修」「マネジメント研修」「スーパーマネージャースクール」など各種研修を受講し、ステップアップ。マネージャーや役員の経験がなくても“大きな志”があれば大丈夫!とのこと。
応募者の中には「38歳までには執行役員になる」と具体的な年齢&ビジョンを掲げ、毎年エントリーをしているという意欲的な人も!
「キャリアパートナー制度」「Good Job(グッドジョブ)」「NEXT UT(ネクストユーティー)」「One UT(ワンユーティー)」「エントリー制度」など、社員が望むキャリアをサポートしてくれる充実の仕組みと、ほかにはないキャリア支援制度を打ち出してきたUTエイム。
社員一人一人の成長と未来を何より大切に考えているという社風は、キャリアアップを志し、自ら成長を目指す働き手にとって、やる気ややり甲斐だけでなく、働く質も高めることができるというチャンスに恵まれた環境であるといえそうです。これからますます成長が期待されるUTエイムから今後も目が離せません!
取材・文:松宮史佳/写真:工場タイムズ編集部、UTエイム株式会社/取材協力:UTエイム株式会社