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千葉県木更津でクリームパン作り体験!「八天堂きさらづ」パン工場見学に突撃!

2018/08/29公開

…8月某日。「何かおもしろい工場見学はないかな~」と考えていると…ふとアイデアが!

JR品川駅の構内で、いつも多くの人々が並んでいるクリームパン屋さんを思い出す。「いつかは食べてみたい」と思っていた“幻のクリームパン”。でも行列の長さに買うのを断念していた松宮。

インターネットで調べてみることに。すると、そのパン屋さんは「八天堂」で本社は広島にあると判明。「でも予算上、広島まで往復夜行バスで行けってS編集長に言われそう…」と、諦めかけたその時!

2017(平成29)年7月、千葉県木更津市に「八天堂きさらづ」というパン工場ができたとの情報が。しかも予約すれば見学だけでなくパン作りも体験できるらしい!都心からも近いし、早速取材を申し込み現地へ!

台風の中、「八天堂きさらづ」の工場見学へ!

取材当日。天気予報によると、台風が上陸する可能性もあるとか。「なんとか無事に到着できますように・・・」と祈りつつ、朝7時に都内某所に集合。レンタカーで木更津へ。車で1時間ほど走ると、牧場やゴルフ場が見えてきます。

風雨がひどくならない前に、都心から1時間半ほどで「八天堂きさらづ」に到着!

研究機関や公園などがある「かずさアカデミアパーク」内にある八天堂きさらづ。

店がある「かずさアカデミアパーク」の広大な敷地は、緑豊かで静か

開店前の8時半なので、まだ看板は出ていない

中に入ると、2017(平成29)年7月にオープンしただけあって、真新しい木のにおいがします。ふと横を見ると・・・あるものを発見!

食パンやクロワッサン、フランスパンのクッションが可愛いすぎる!

中には、販売店舗・見学エリア・製造工場があります。

開店前(8時30分)でまだお客さんがいないうちに、お話を伺うことに。

それは危機から生まれた!大行列のクリームパン「秘話」

テキパキとしていて、とってもステキな松井渚さんにインタビュー!

大人気のクリームパンを生み出した「株式会社八天堂(以下、八天堂)」は、1933(昭和8)年に和菓子店として森光香(もりみつ かおる)さんが 広島県三原市に創業。

三原市は広島市から新幹線で40分ほど、広島県の南東に位置している

三原市にある、「八天堂港町創業店」外観

現在は森光孝雅さんが三代目を務める

孝雅さんの代で、広島県内に10年間で13店舗をオープン。しかし事業を拡大しすぎたため、経営不振に。そこで店舗をクローズするなど、事業の縮小を余儀なくされてしまったそうです。

「何か打開策はないか」と考える日々を送っていた孝雅さん。試作が余り「翌日スタッフに試食してもらおう」と、冷蔵庫にクリームパンを入れていたそう。翌日、それを食べたところ、常温にはないデザートのようなしっとりとした食感で、とてもおいしかったんだとか。そこで、クリームパンを開発することに。

何百回と失敗を繰り返し、3年後。ついに現在の「くりーむパン」が誕生!(“くりーむ”はひらがな)。

「くりーむパン」はカスタード・小倉・チョコレート・抹茶・生クリーム&カスタードの5種類

現在、「八天堂」は東京・神奈川など全国に26店舗あります。シンガポールや台湾などにも進出。メディアにも多く取り上げられる人気店に。

まさに、経営不振の「ピンチがチャンスを生んだ」といえますね!

“2人の男の出会い”が「八天堂きさらづ」を生んだ

と、ここで「なぜ関東の木更津にパン工場がオープンしたのか」と松井さんに伺う。すると、意外な答えが!

千葉県にある「社会福祉法人かずさ萬燈(まんとう)会」の理事長・渡邉元貴(もとき)さん が2014(平成26)年ごろ、各地から経営者が集まる会合に参加。そこで「八天堂」の森光社長のスピーチで経営不振から立ち直り、「くりーむパン」が誕生した話を聞き、感銘を受けたそうです。

高齢者や障がい者施設などを運営する「かずさ萬燈会」の渡邉理事長

障がい者が作業を行い、手にする賃金は1カ月で数千円ほど。常々「賃金をアップし、環境を改善したい」と考えていた渡邉理事長。「これだ!」「八天堂のくりーむパンを作ろう!」と思い、森光社長に直接交渉。

しかし最初、森光社長は真に受けなかったそうです。が、翌年の会合で2人は再会。渡邉理事長がパン工場の件について森光社長に再度「工場の件、どうなってます?」と確認すると・・・

2年掛かりで工場の件を交渉され、「本気だったんだ」と悟った森光社長。渡邉理事長の“想い”をひしひしと感じ、「八天堂きさらづ」が誕生。現在 、北海道を含む東日本エリアの商品を作っています。

障がい者の方はフライヤーを折ったり、配送を手伝ったりと、その人に合った作業を行い「八天堂きさらづ」をサポート

2人の男の“運命的な出会い”と渡邉さんの“アツい想い”に感銘を受けた松宮。

続いて、いよいよ「くりーむパン」の製造工程を見せてもらうことに!

おいしさのヒミツを探る!パン工場内へ

副工場長の山下敦さんに案内していただく

もともと、「広島みはら臨空工場」に勤務していたという山下さん。「八天堂きさらづ」には、「製造サポートと品質管理のために来ている」とのこと。

7月に発生した西日本豪雨では、広島みはら臨空工場の近くにある川が氾濫。水やガスが使用できなくなってしまったそう。そのため、広島から16人のスタッフが「八天堂きさらづ」へ。全国に工場が2カ所しかないため、2交代でパン工場を稼働。2万7000個生産していたとのこと。「ほとんど納品はストップしなかった」と山下さん。

現在、工場には22~23人ほどが勤務しているそうです。早朝5時半から稼働し、1日に7,000個ほどを作るんだとか!

工場は午前中で終了するそうなので、見学は「午前中がおすすめ」。見学は自由で料金は無料&予約不要。所要時間は10分ほど。

通常、見学は窓の外からパネルを使って行う

今回は取材のため、特別に工場内へ入れていただけるとのこと!

と、その前に・・・

白い作業服+マスクにチェンジ!着替えたら、「コロコロ(クリーナー)」で作業着に付いている(かもしれない)髪の毛などを上から順に取っていきます。時間は1分半ほど。

やり方は写真があるのでわかりやすい

「人によって違いがでないように」するため、時間を決めて(やり方の)写真を貼っているそう。

とにかく「念入りに(注:作業着に身を包んだ松宮)」

指の間や手首などもしっかり洗浄

殺菌作用のある青いライトで20秒乾かす

いよいよ「成型ライン」へ!

“手作りがメイン”のパン工場

現在、こちらの工場では「看板商品のくりーむパンのほか、食パンやハード系のものなど約20種を作っている」とのこと。

ミキサーで20分ほど生地を練る

「パンの生地により、練る時間は異なります」と山下さん。

パンの生地はミキサーで練る。が、状況により人が練ることもあるそう。周囲を見渡すと、大型のマシンはなく、黙々と人が作業をしています。

生地をいくつかの塊に分け、(くりーむパンの場合)30分ほど発酵させる

赤い「分割丸め機」に生地をのせ、伸ばしたら・・・

マシンに入れ「プレス・プレス!」

・・・数秒後。

ふと、マシンを見ると・・・

おお~!

「30個に分かれてる!!!」と思わず叫ぶ

・・・このマシン、なんかおもしろい!

分けた生地はラックに差した後、発酵を促す「ホイロ」へ

「ホイロ」の前まで来ると、少し「熱」を感じます。山下さんによると、「ホイロ」は温度40℃で湿度80%ほどだそう。1時間ほど発酵し、オーブンに入れます。

三段型のオーブンで6分ほど焼く

ちなみにこのオーブンでは、一挙に207個のくりーむパンが焼けるそうです。

実は、くりーむパンは「最初は10分焼いていた」とのこと。しかし、ふんわりした食感を大切にし、試行錯誤しながら6分になったんだとか。やはり改良を重ね、現在があるんですね!

「華麗な職人技」が炸裂!

続いてくりーむパンを袋詰めしている「衛生区画」へ。ちなみに先ほどまで見学していた、生地をこねたり焼き上げたりするエリアは「準衛生区画」と呼ばれ、「衛生区画」に比べると熱を加える工程などがあるため、衛生面では問題が起こりにくいエリアなんだとか。

グリーンは「準衛生区画」、ベージュは「衛生区画」と床の色で分かれている

これは「エリアが変わった」とわかりやすい!「準衛生区画」から「衛生区画」に移動すると、少しひんやりします。「衛生区画」は熱を使用した殺菌をしないため涼しいんですね。けれど熱を使わない分、より衛生面に気を配る必要があるエリアなんです。

「八天堂」の「くりーむパン」の大きな特徴は、焼き上がったパンにクリームを後から入れ1日寝かせている点。これにより生地とパンが一体化し、他にはない食感を作り出しているそうです。

1秒ほどで、次々にクリームを入れていく

パンに対して差し込み口を垂直にしているので、ほぼ差した跡が見えない

山下さんによると、「慣れていない人がクリームを入れると、差した跡が大きく残ってしまったり、クリームがはみ出してしまったりする」そうです。

最後に、人の手で「くりーむパン」を包装する

「どうして人が包装してるんだろう?」。不思議に思い、山下さんに尋ねると、「マシンと人とでは温かみが違う」との答え。

「どちらが手に取りやすいか」とスタッフの方にアンケートをとったところ、みんな手包みの方を選んだとのこと。

「カスターライン」へ

「くりーむパン」の命ともいえるカスタードを作っているエリア。火を使っているため、少し気温が上昇します。夏には30℃になる時もあるそうで、近くには扇風機の姿が。

意外だったのは、カスタードクリームの原料である卵黄と牛乳、小麦粉を「1分半程度しか混ぜないこと」。

カスタードクリームを作る時に混ぜすぎないのが軽やかな食感を生む

完成したカスタードクリームはバットに入れて熱を冷ます

従業員の方々の熱中症対策として、至るところに無料のドリンクマシンが!

山下さんにお礼を言い、「くりーむパン」を実食してみることに!

大人気の「くりーむパン」+「メロンパンカスタード」6種食べ比べ!

「くりーむパン」の作る工程を見学し、「どんな味なのか」と気になって仕方なかった松宮。

(左上から)チョコレート・生クリーム&カスタード・抹茶 (左下から)小倉・カスタード・メロンパンカスタードを食べ比べ

ちなみに、「くりーむパン」と「メロンパンカスタード」にはすべて“味の命”といえるカスタードが入っているそうです。

まずは「くりーむパン(230円)」の中でも一番人気という、カスタードから!

「どんな味なんだろう」と、ドキドキしながらひと口

「・・・おお、これは!!!」通常、パンというのは生地が最初、次にクリームが来る。が、「八天堂」の「くりーむパン」は溶け合って一体化した、生地とクリームが「一緒になってやって来る」感じ!パンでも、デザートでもない。今まで味わったことがない、独特の心地よい触感。

空気を多く含んでいるため、軽やかで食べ応えがあります。しかし、重くはない。そこが絶妙すぎる。

甘さ控えめ&大人の味わいのチョコレート(230円)は松宮一押し!

福岡産の八女茶を使った抹茶(230円)は「あとからふわっと風味が香る」

北海道産の小豆を使用した小倉(230円)はふっわふわ!食感を残した小豆がアクセントに!

濃厚な味わいがたまらない!生クリーム&カスタード(230円)

価格が高いため、あまり市販のお菓子には使用されない「純生クリーム」を使っているのが贅沢!

「メロンパンカスタード」(250円)はサクッと&しっとりした食感を楽しめる

「くりーむパン」と「メロンパンカスタード」はどちらもあたたかみがあり、素材を生かした上質な味わいで大満足!

パン作りに挑戦

最後に、松井さんに教えていただきパン作りに挑戦することに。

体験は「お試し体験コース(30分500円/25gパン1個付き)」と「オリジナル体験コース(90分1,500円50gパン2個付き)」の2種類(どちらも要予約)。

実はもともと「八天堂きさらづ」の母体である「かずさ萬燈会」の介護士だった松井さん。お母さんとして4人の男の子の面倒を見ながらも1年間、主に週末は千葉から広島に通い、パン作りの技術を学んだとか! すごい!

「初めてでも大丈夫!」とやさしく教えてくれる松井先生

今回は「お試し体験コース」を選択し、松井さんおすすめのハリネズミに挑戦!

・・・生地を丸めようとするが、あまりのできなさ加減に思わず笑ってしまう

はさみを使いながら、生地を切る

・・・15分後。先生と松宮の作品が完成。

「ナゾの生き物」松宮作(左)、「ハリネズミ」先生作(いうまでもなく右)

オリジナルの包装紙を作成(これも苦手系)

カスタードのお土産付き

あっという間に30分が終了。まったくうまくできなかった・・・けど、いつの間にか夢中になっていました。

「くりーむパン」と「八天堂きさらづ」にはいろいろな人の想いが込められていると知った今回の取材。パン工場見学で「八天堂」が「手作り・手包み・お手渡し」にこだわり、一つひとつていねいに作っている姿に感激しました。

「八天堂きさらづ」は家族連れからカップルまで、幅広く楽しめること間違いなし!ぜひ見学&体験してみてください!

パン作り体験

・お試し体験コース(30分500円/25gパン1個付き)

・オリジナル体験コース(90分1,500円50gパン2個付き)」の2種類

※どちらも要予約。

お問い合わせ:0438-52-0810

帰りには店舗に寄って、季節限定&コラボ商品もチェック!

八天堂きさらづ

住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-2-22
営業時間:10:00〜17:00
定休日:なし(パン作り体験工房(要電話予約)のみ火曜日定休)
電話:0438-52-0810
HP:http://www.nakago.or.jp/hattendo_kisarazu.html

取材・文:松宮史佳/写真:工場タイムズ編集部
写真提供(一部):「株式会社八天堂」「かずさ萬燈会」

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