株式会社IZUSHI(京都府)は、2019年に創業110周年を迎える機械用工具の専門商社だ。顧客のニーズに合わせ国内外の良質な製品を提供し、製造業の生産性向上に寄与している。
展示品の「5軸加工用センタリングバイス」そして「クーラントホース」の特長について、担当者にお話を伺った。
作業能率を上げる「5軸加工用センタリングバイス」とは
まずご紹介いただいたのは「i-TOOLバイス」。バイスとは、材料加工の際に使用する固定用具を指す。株式会社IZUSHIが取り扱う「i-TOOLバイス」は、スイスより輸入している製品だ。材料から仕上げの工程にかかるまで、全ての行程を一台で行うことができるという特徴がある。
このセンタリングバイスは、5軸加工機で使用されることが多い。高精度な加工をより短期間かつ低コストで実現できる切削加工機械だ。現在日本では5軸加工機の普及率は低いが、今後需要も増えていくことを見込み、取り扱いを始めたと言う。
製造業では、量産加工と多品種少量加工と大きく分けられるが、量産加工の場合は同じものを何千何万個製造するため、専用の「治具」と呼ばれるものを作る。一方で、多品種小ロットの場合、一台の機械で複数のものを作ることがある。そういった場合にこのバイスを使用することで、作業効率を高めることができるというわけだ。
「クイックチェンジ」で作業能率アップ
他社製品にはこのクイックチェンジをうたう製品もあるが、ボルトで止めるなどの手間が必要なものも多い。一方で「i-TOOLバイス」は、45°回すだけで中に入っているカムで抑え、固定できるため、作業の流れを止めることもない。また、爪の形状には特許技術を使用し、どの製品に付け替えても高精度で作業を進めることができる。
効率だけではなく、安全性も忘れてはならない。爪は真上に抜けるのではなく内側に向いており、万が一ロックをし忘れてしまったとしても、それ以上爪が動かないよう設計されている。つまり、何らかのミスがあっても作業者や周辺設備へ被害が及ばない作りとなっている。
多様な用途に合わせた爪を用意
材料を固定するための爪には、加工の用途に合わせた複数のラインナップが用意されている。 その中の1つ「ハイブリッド」は、2パターンのクランクができるのが特徴だ。より強い力で固定したい材料と、固定跡が付かないよう加工したい材料、1つの爪でそれぞれ使い分けることができる。
また、アルミ製の爪はそのまま使うのではなく、製品の形状に合わせ加工して使用する。例えば丸い材料を固定する場合は、爪を半円状に加工して使用することができる。他にも、用途に合わせて爪を揃えることができるという。
切りくずの排出性が良い「オープンデザイン」
爪のバイス下部分に空間が空いている「オープンデザイン」も、この製品のユニークな特徴だ。
金属加工の際に出る切りくずは、バイスの中に詰まり動作不良となることがある。それを抑えるため空間を大きく設けることによって、切りくずの排出性を高めることができるというわけだ。このデザインにより作業効率を高め、動作不良による作業時間のロスを削減することができる。
加工不良削減へ「クーラントホース」の特徴
続いて紹介していただいたのが、同メーカーの「i-TOOL クーラントホース」だ。エンドミル加工の際、切削による熱を抑え、精度の高い加工を行うために欠かせない水や油等(クーラント)を切削部分に供給するため使用される製品だ。
クーラントホースは樹脂製が一般的だが、この製品はアルミ製で樹脂製に比べても長寿命となる。さらにフランジ部分をしっかりとロックすることができるため、的確にクーラント供給を行うことを可能にしている。
運転中にクーラントホースの先端が動いてしまえば、加工不良が出かねず、無駄なコストがかかってしまう。ファクトリーオートメーション化の流れの中、人による調整作業は最小限に抑えたいというニーズが高まっていることもあり、改善アイテムとして提供しているという。
ノズルの安定性が高い
この製品の特徴はノズル部分の安定性の高さだ。加工中は確実にクーラントを供給する必要があるが、機械の使用中は振動が発生するため、ノズルの位置が意図せずずれてしまうことがある。しかしホースが的確に固定されていれば、8MPaまでの高圧に耐えることができる。位置を補正する手間がかからず、スムーズに作業を進めることが可能となっている。
パーツの組み合わせにより様々なニーズに対応
ノズルの先端形状も様々だ。例えば、切りくずを効率よく除去したい場合は面積が長いものを、冷却効率を高めるため複数の穴が開いているものなどを使用する。 加工の内容に合わせて多様な組み合わせができるため、顧客のニーズを的確に解決することが可能となる。
多様化する課題を最適な改善策でサポート
株式会社IZUSHIが取り扱う5軸加工用バイス、そしてクーラントホースの2製品について、詳しくお話を伺った。
製品の加工不良を防止するクーラントホースは、製造業の環境負荷削減にいち早く取り組んできたヨーロッパの企業が中心となり、開発が進んでいるという。
環境負荷に関する問題や生産コスト削減など、多様な課題が突き付けられている昨今、柔軟に最適な改善策を提供できる企業が求められている。
創業から100年あまり、日本の製造業の発展に寄り添い支えてきた株式会社IZUSHI。付加価値の高い製品とサービスを提供する「コトづくり」を通じ、今後も日本のモノづくりを支え続けていく。
取材先:株式会社IZUSHI
URL:https://www.ztec-izushi.co.jp
制作:工場タイムズ編集部