2022年6月に開催された「日本ものづくりワールド」。
出展企業のひとつ、2006年創業の株式会社ケイズデザインラボ(東京都)は、3Dスキャナやソフトウェアなどの3Dデジタル機材の販売、3Dデジタルにまつわるプロデュースを事業としている企業。「大容量データ時代」におけるデータの正しい運用・利活用を促進している。
3D&バーチャルリアリティ展にて、最新モデルの3Dスキャナ『FreeScanUE PRO』を展示していたため、担当者の方に話を伺った。
3Dスキャナ「FreeScanUE PRO」とは
3Dスキャナは立体物の測定をすることができ、スキャンしたデータとCAD(コンピュータ支援設計ツール)と照らし合わせることを目的とした機械。
従来は光沢のあるものや黒いもの、溝や文字といった細かい対象物はスキャンすることができなかったが、今回発表のモデル『FreeScanUE PRO』ではそれらのデータを測定できるようになった。
高輝度ブルーレーザーを搭載
「FreeScanUE PRO」との違いについて、話を伺った。
「従来のモデルでは、一秒間に55万の点のデータを取れていましたが、新モデルでは185万のデータが取れるようになりました。」
と、担当者は答える。一秒間に読み取れるデータが多ければ多いほど、大きな物でも素早くデータを収集することができるようだ。
具体的には、旧モデルでは自動車一台のスキャンに30分から1時間程度かかっていたが、FreeScanUE PROなら15分ほどで作業を完了するという。
新モデルは、主に測定業務を専門としているお客様に向け開発されたものであり、従来のモデルはコンシューマー向けだということも教えてくれた。
車のような大きい物を一周してスキャンすると、人によって細かい誤差が累積してしまう。新モデルなら誤差は出ないので、業務でも安心して使用できる。
直感的な使用方法
左側写真の指をさしている部分から青色のレーザーが射出され、右側写真の上下のカメラで、人間の目のように対象物を3Dモデル化していく。
3Dスキャンされたデータは、対象測定物の全体をレーザーとカメラで捉えることで、上記写真のようにアウトプットされる。
また、対象物を細かく撮りたい場合、大雑把でもいいから速く撮りたい場合など、デジカメと同じように用途や目的に応じて解像度等を変更することができる。
さらに、特定のエリアを指定して、対象部分のみ高解像度でスキャンするといった使い方も可能だ。
タイヤの溝までくっきり
取材をする中で驚きを隠せなかったのは、3Dスキャナの精度だ。
タイヤの溝までくっきりわかる。
同製品は、すでに車両ボディのプレス金型などの現場で導入が始まっている。レンズの付け替えや用途に合わせた製品の切り替えが必要ないことも需要に直結しているようだ。
今後、ざっくりとした全体像を必要としている人、細かい部分の形状測定が必要な金型成形を専門とする人それぞれに重宝されることだろう。
まとめ
最後に、担当者の方に今後の展望について伺った。「弊社は販売するだけではなく、お客様のニーズに合わせて機械を持ち込み、現場でスキャンの作業をお手伝いするサービスも展開しているので、そのあたりの強みも活かしていきたい」と語ってくれた。
スキャン業務に精通するスタッフのいる株式会社ケイズデザインラボの強みとして、3Dスキャンの導入だけではなく、活用提案を踏まえて提案できる事は、導入するユーザーにも大いに頼もしく映るのではないだろうか?
今後も「大容量データ時代」を3Dスキャナを用いて支援する株式会社ケイズデザインラボに、日本のモノづくりに関わる企業の注目は増すばかりだろう。
取材先:株式会社ケイズデザインラボ
URL:https://www.ksdl.co.jp/
制作:工場タイムズ編集部