仕事のあとの冷たく冷えたビール、最高ですよね! そもそもビールって、何からできているか知っていますか? 基本的には、麦芽とホップ、酵母、水という4つの材料から造られているんです。
今回は、その中でも「ホップ」が主役。ご紹介するのは、今年収穫した国産フレッシュホップで造ったビールを楽しむイベント「フレッシュホップフェスト2018」。「国産フレッシュホップ」を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
「フレッシュホップフェスト」は2014年から始まり、次第に趣旨に賛同する輪が年々広がっていきました。4回目となる今年は、全国のクラフトブルワリー52社および1,000店以上の飲食店が参加と、過去最大規模に。
今回は、そんなかつてない盛り上がりを見せる「フレッシュホップフェスト2018」の発表会に参加してきました!
「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」で開催
「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)」は、東京・代官山にある、ビールの醸造所が併設されたレストラン。ここで醸造された6種のクラフトビールや、旬の素材を使った料理が味わえます。
国産ホップの現状
ホップは、ビールに爽やかな苦味と華やかな香りを加えてくれます。同じくビールの原料である麦芽と加えて、重要な原料のひとつ。
ホップはドイツやアメリカで多く栽培されていますが、実は日本でも東北や北海道で国産ホップが栽培されています。キリンは50年以上前から国産ホップの栽培に取り組んできていて、今や国内の国産ホップの購入量シェアでは半数以上を占めるほど。
けれど生産者の高齢化や後継者不足などにより国産ホップの生産量は年々減少傾向にあり、2017年は、2005年と比べるとおよそ半減してしまっているのだとか。
クラフトビールを軸にした国産ホップへの取り組み
一方、最近の若者を中心としたクラフトビール人気で、クラフトブルワリー(造り手の想いが込められた個性的なビールを造る醸造所)が全国各地で続々と誕生するなど、クラフトビール市場は引き続き成長する見通し。
実は、クラフトビールは大量生産されるビールに比べ、原料でホップを大量に使用します。クラフトビールの広がりをきっかけに、ホップによって地域性を出せるといった理由から国産ホップへの関心が高まり、全国各地で新たなホップ栽培も増えているのです。
フレッシュホップフェストとは?
「フレッシュホップ」とは、その年に収穫された乾燥させていない「生のホップ」のことで、「フレッシュホップフェスト」はその生のホップで造ったビールを楽しむお祭り。いうなれば、「ボジョレーヌーボー」のビール版のようなものですね。
今年は、9月1日(土)~10月28日(日)の約2ヶ月間開催されます。
フレッシュホップフェストに参加するブルワリーは年々増加し、4年目となる今年は北海道から鹿児島まで、過去最大の52ブルワリーが参加するそう。クラフトビールのブルワリーは全国300箇所あるうちでその数なので、今回参加するブルワリーの規模の大きさが分かりますよね。
今回の「フレッシュホップフェスト」発表会に参加した農家・ブルワリー・店舗
ホップ農家
「昨日の朝摘んだばかりの『IBUKI』という銘柄の国産ホップを会場に持ってきました」と好地さん。のちほど会場でこのフレッシュホップを使ったビールを試飲させていただけるとのことで、楽しみです!
参加ブルワリー
米沢ジャックスブルワリー
「今年7月に醸造デビューしたばかりのブルワリーです。今回は、初めて仕込んだビール“ファーストバッチ”をお持ちしました」と槙山さん。
2018年から醸造を開始した、新しいブルワリーのビール。基本的なビアスタイルを極めつつ、新しいスタイルにチャレンジしていくそう。ロゴがおしゃれですよね。
常陸野(ひたちの)ネストビール
「その年にできたホップは一期一会。フレッシュホップの良さを引き出せるようがんばります」と宮田さん。
1823(文政6)年から日本酒を造っている、木内酒造が生んだビール。ペールエール、バイツェンなどの種類のビールに使用する麦芽はイギリスから、アンバーエールという種類に使用するカラメル麦芽はベルギーからと、こだわりの材料はビールの本場から厳選して直輸入しています。ふくろうアイコンの可愛いさでも知られています。
COEDO Brewery(コエドブルワリー)
「規格外品として廃棄されてきた農作物をどのように活用するかといったことから誕生したブルワリーです」と水沼さん。
1996年、川越で育ったサツマイモでビールを醸造することに成功し、それがCOEDO Breweryが初めて開発した製品に。日本独自の色名を使うなど、ビールの名前にもこだわっています。こうしてグラデーションでボトルを並べてみると、分かりやすいですね。
南横浜ビール研究所
「おそらく最小規模のブルワリーではないかと思いますが、ホップの生産から醸造、販売まで全て自分たちで行っています」と荒井さん。
1階が醸造所、2階がビアバーになっているブリューパブを運営。ドイツ産やカナダ産の麦芽と、ドイツ産やアメリカ産のホップを使って醸造する、非加熱で無ろ過なため酵母の味わいが生きているそう。とても飲み応えのあるビールでした。
横浜ビール
「横浜産ホップを収穫して3時間以内に醸造した、『YOKOHAMA IPA』を9月4日にリリースします」と田尻さん。
小麦や副原料のフルーツなど、収穫も一緒に携わるほど素材に合わせた原料選びにこだわっている。常時6~7種のビールを醸造しており、代表銘柄のピルスナーやヴァイツェンは特に高い評価を得ているとのこと。
Far yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)
「今年フレッシュホップフェストに初参加させていただきます。国産ホップ『IBUKI』を使って仕込んだビールが、9月末に発売予定です」と村田さん。
華やかで、伝統と最先端が混じりあいながら日々進化していく「東京Tokyo」を表現するビール。豊かな香りが特徴のアロマホップによる洗練された上質な香りや、熱処理を加えず工場から温度管理された状態で届けることでライブ感あふれる味わいにしているのだとか。
ヤッホーブルーイング
「96年に創業した古参ブルワリーです。会社のある地元軽井沢でホップの栽培を始め、今年からそのホップを使ってビールを醸造します」と小泉さん。
「クラフトビールを通じて日本のビール文化を変えたい」という想いを持つ、軽井沢に本社を置くビール製造メーカー。「よなよなエール」を始め、「インドの青鬼」、「水曜日のネコ」など、知名度の高いビールブランドを販売しています。
Octagon Brewing(オクタゴンブリューイング)
「国産にも良いホップがたくさんあるので、国産ならではのフレッシュホップの良さを引き出したいですね」と千葉さん。
静岡県浜松市にあるブリューパブで、店の奥にある小さな醸造所で造ったフレッシュなビールを最高の状態で飲むことができます。
六甲ビール醸造所
「20年前からビールを造っていますが、フレッシュホップを使ったビールを造るのは初めてです。香りが爽やかなので酒米を使ったビールと組み合わせたいですね」と中島さん。
神戸市北区の有馬温泉に程近い六甲山山麓に、六甲ビール醸造所の工場があるそう。地下50mの岩盤から汲み上げた、豊かな六甲山が育んだ天然水で醸造しています。
道後ビール
「道後温泉の湯上りに飲んでいただきたいと思い造ったビールメーカーです。愛媛は今豪雨の災害で観光客が激減しているので、皆さんぜひ愛媛に旅行に来てください」と家串さん。
日本最古の歴史を誇る道後温泉のクラフトビール。長年の清酒作りの技を活かし、良質のモルトを贅沢に使い、熱処理を施さないことで生きた酵母がたっぷり入った生のうまみを大切にした味だそう。
参加店
伊勢丹新宿店
「どうして百貨店が参加するの? と皆さん疑問に思われているのではないでしょうか。実は百貨店にいらっしゃるお客様は、『今しか食べられない、今しか買えない』というものを求めてるんです。昨年販売した『フレッシュホップビール』もとても評判が良かったので、今年も参加させていただきました」と倉友さん。
実際に、フレッシュホップビールを試飲!
フレッシュホップの鮮やかな香りと芳醇な味のエールビールでありながらも、軽やかさを感じる口当たりです。とっても飲みやすい!
「Hop Fest 2018」(330ml瓶)は、2018年10月5日(金)からスプリングブルワリー各店や銀座の”BEER TO GO”で発売予定のほかタップ・マルシェでも取り扱いを開始するため、タップ・マルシェを設置した様々な店舗で飲むことができます。
フレッシュホップビールが飲めるイベントも開催!
2018年10月6日(土)~ 8日(月・祝)の3日間、「フレッシュホップフェスト2018」に参加する52ブルワリー全てのフレッシュホップビールが飲めるイベントを開催します!
”BEER TO GO” by SPRING VALLEY BREWERY
開催場所:Ginza Sony Park
https://www.ginzasonypark.jp/shop/11.html
いま話題の「銀座ソニーパーク」での開催。フレッシュホップビールに酔いしれる3日間、ぜひ皆さん足を運んでみてください!
取材・文:西尾悠希/写真:工場タイムズ編集部