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進化を続ける技術に適応する富士通株式会社の事業ブランド「富士通 Uvance」に迫る

2022/11/25公開

富士通株式会社は、総合エレクトロニクスメーカーであり、総合ITベンダー。情報処理システムや電子デバイスなどの製造・販売だけではなく、これらに関するサービスも提供している。

富士通株式会社は2021年10月に新たな事業ブランド「富士通 Uvance(ユーバンス)」を立ち上げた。今回、この事業のコンセプトや特徴について担当者にお話しを伺った。

新事業ブランド「富士通 Uvance」とは

富士通株式会社の新事業ブランド「富士通Uvance」。Uvanceは、あらゆる(Universal)ものをサステナブルな方向に前進(Advance)させるという意味を持つ。サステナブルな世界の実現に向けて、顧客からの課題を解決するサービスだ。

今回は、富士通Uvanceのテーマである「サステナブルマニュファクチャリング」の5つのテーマのうち、2つを展示。1つは見える化を中心とした生産上のシステムである「エンタープライズビジュアレーション」。展示されたもう1つのテーマ「ピープルイネーブル」は、製造の人に関することをサポートするという。

顧客の課題を解決する「クローズドループ」という考え方

 

顧客の課題を解決するオファリングとして展示されたのが「クローズドループ」。担当者によると「簡単に言うとものづくりの川上から川下をつなげるようなこと」とか。たとえば、何をどう作って、どう計画化するかというオファリングを行う。自社製品だけではなく、シーメンスやSAPなどの企業とも組んで、顧客の課題を解決するという考え方で取り組んでいる。

具体的な方法としては、コンピューター上で3Dデータを使い、製造ラインを復元する。そこで、ジグや棚の位置が近い、遠いなどの設計を行う。そうすれば、実機に落とすときに変更がないようにでき、ラインの立ち上げをスムーズにできるようになる。

コンセプトは「物をつくらないモノづくり」

基本的に、製造工場では毎日同じものを作っているわけではなく、種類も量も毎回変わる。その度に、ラインの組み換えが必要になるが、前もって計画されていればスムーズに取り替えができる。富士通 Uvanceでの「モノづくり」とは、この計画の部分を指す。

富士通株式会社の各工場では、誰がいつ何が流れてきても対応できるようになっている。たとえば、違うネジを締めたら、ドライバーが止まるなど。クローズドループの考え方で、あらゆることを想定して「物をつくらないモノづくり」を実現している。

他社との違い

富士通株式会社が他のベンダー企業と違うのは、自社工場を持っていることが大きい。富士通Uvanceのサービスは、国内外に20箇所ほどある自社工場をスマートファクトリー化して、そこで実験・実施を行っている。

ただ開発するだけではなく、自分たちで実際に試したものを顧客に提供しているからこそ、満足度の高いサービスを提供できるのだろう。

事前に検証できる「VR」の特徴

 

続いてご紹介いただいたのが、富士通株式会社でソフト面の開発・製造を行っている「VR」。バーチャル上で、組立などの製造工程を実体験で検証できるという。

VRといえば、一昔前まではハードの技術があまりよくなく、疲れたり酔ったりすることも多かった。しかし富士通株式会社のVRは、スムーズな動きが特徴で、疲れや酔いをほとんど感じない。ソフト面で変更をかけることで、快適な使い心地を実現しているという。
 

開発・製造現場のほか研修用としても使える

 

現在、このVRは、ネジやバルブをつけるような組立工程のある工場30社ほどで導入されている。もちろん、富士通株式会社の国内外の工場でも使われている。主に、生産技術や開発の方で、事前の検証チェック用として使うとか。

このほかにも、新人研修用としても使える。たとえば、エンジンの中や部品の組み立てをバーチャル上で体験できる。口頭では説明できない、伝えにくいことでも、実際に作業をする前に体験することで、作業に取り掛かりやすくなる。

これまでに、高所作業を行う通信会社や農家など、さまざまな業種の教育コンテンツの開発も行ってきた。

自社開発ならではの強み

富士通株式会社のVRは、設計から製造、保守まですべてのアプリケーションを自社で行っている。デザイナーが自ら顧客の現場に出向き、現場を知った上で目的や悩みを明らかにし、一緒に解決方法を考えているという。

VRに取り込む3Dの図面はiCADで作っているが、このiCADは富士通株式会社のグループ会社だ。このように、グループ会社を含めた自社で開発を行えるのが強みだろう。

夢に向かって前進できるサステナブルな世界へ

富士通株式会社の新事業「富士通 Uvance」について詳しくお話を伺った。

「物をつくらないモノづくり」をコンセプトにしたこの事業は「多様な価値を信頼でつなぎ、変化に適応するしなやかさを持って、夢に向かって前進できるサステナブルな世界をつくる」という決意も込められている。

日々、技術は進化し、世界情勢も変化している。富士通株式会社が提供するサービスは、これからもモノづくりの現場や人を支えていくだろう。
 

取材先:富士通株式会社
URL:https://www.fujitsu.com/jp/
制作:工場タイムズ編集部

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