工場レポートシリーズ第4弾!
今回は金属加工を専門とする株式会社三和製作所さまにご協力いただき、工場見学と採用担当の方にインタビュー。
金属加工に対する思いや、将来の展望など工場で働く方の生の声をうかがいました!
株式会社三和製作所って?
株式会社三和製作所は1951年に創業し、71年の歴史を持つ会社。
自動車部品の試作品加工を中心に建機~ロボットまで様々なジャンルの試作品加工を、『マシニングセンタ』(自動工具交換機能を持ちプログラムにより数値制御され、製品を削ったり穴を開けたりする機械)を使用し、高品質・高精度な製品を短納期で提供しています。
主な生産物は鋳物製品(高温で溶かした金属を型に流し込み、冷やして固めた製品)への機械加工 が70%、残りの30%は削り出し(素材のかたまりから、様々な機械を使用して加工)の手法で作ったものだそう。中には500kgのアルミのかたまりを片手で持てる程へ形状加工も。
創業時は東京都三鷹市に拠点を置いていましたが、工場拡張のため現在のあきる野市に移転。現在は本社工場、第二工場(併設)に30〜50代を中心とした24名の従業員が活躍しています。
取材日当日は駅から徒歩でうかがいましたが、現地に着くと大きな外観とともに独特の工場の雰囲気が漂っていました。
依頼は極力対応します! 三和製作所の強みとは
三和製作所では、試作品に特化したものづくりをしているため、日々変化していく、お客様から要求されるさまざまな条件を組み入れた製品を作ることができます。
鋳物製品の加工から同時五軸加工(X・Y・Zの3軸と回転・傾斜の2軸を同時に動かして行う加工)までのあらゆる技術を駆使し、高精度・高品質な製品を提供している三和製作所。短納期で他社では受けることが難しい案件も、夜間も工場が稼働していることで対応しています!お客様からの信頼も厚く、安定的に仕事を受注できているそう。
また、高精度な部品を製造するため、設備にもこだわっているとのこと。世界最高峰の「安田工業」の機械を複数台保有し、常に安定した精度でお客様に提供しています。ちなみに安田工業の機械は、F1やフェラーリのエンジンの製造にも使われているとか。
自動車の重要部品を扱うことが多いため、数年後にモーターショーや雑誌などで紹介されることもあるそうです。自分が手がけた部品が世に出る姿を見れるなんて、とてもワクワクしますね!
さっそく工場見学!
今回の取材は、じっくりお話をうかがう前に、採用担当の佐藤さんの案内のもと金属加工の現場を見学させていただきました。試作品メインということで製品や一部機械の撮影はNG!
工場内部へ潜入!
工場内には機械や工具がたくさん置かれており、特に幅7メートルほどある「マシニングセンタ」の大きさには圧倒されました。「これは一体いくらするのだろうか…」と思わず考えてしまう編集部…(笑)こんな機械が22台もあります。
取材の日は12月で気温も低く肌寒かったのですが、工場の中は上着がいらないくらいのちょうどいい温度。佐藤さんに聞けば、製品が熱の影響で変形しないよう常に22℃前後に保たれているそうです。機械が熱を発するため冬でも冷房を使うことも。
取材を進めるうちに気付いたのは、室内が明るく通路は広く、工場特有のにおいも少ないこと。しかも機械油で床が滑るということもなく、安全面の確保もバッチリ。これなら快適な環境で働くことができそうですね!
三次元測定室
マシニングセンタで加工された製品はこの部屋で検査されます。恒温室になっており、一年中精度は一定に保たれているそうです。
工具室も見学
工場内の色々な場所を見学した後は、工具室にも案内いただきました。ここには工場で使われる全ての工具が揃っているらしく、部屋は奥行きがあり色々な形の工具の先端が上に向いている様子はまさに壮観!
休憩室に移動
工場見学の後は、従業員の方々が使う休憩室も案内いただきました!
ちなみにお昼ごはんは仕出し弁当もあるそうで、メニューもいろいろ。会社の補助があるのでなんと260円で食べられるとのこと。うらやましい!!
ひと通り工場見学をさせていただいたので、続いて採用担当者の佐藤さんに三和製作所で働く魅力をうかがうため、場所を移動。
採用担当者・佐藤さんへインタビュー!
今回工場をご案内いただいた、採用担当者の佐藤さん。ご自身も未経験で入社されたとのことで、入社当時の苦労やこれからの三和製作所について熱く語っていただきました。
ーー本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。
勤務スケジュールについて
ーーさっそくですが、こちらの工場で働く方々の主な1日のスケジュールを教えてください。
佐藤さん:基本的にはこんな感じです。だいたい皆さん定時で帰宅されますが、納期が厳しいとご自身で判断された方は残っているような形ですね。
ーーありがとうございます。定時で帰れるというのは仕事の後の時間も充実させられるので嬉しいですね!
入社後の印象について
ーー佐藤さんは未経験からご入社されたとのことで、プログラム入力や機械の操作などを一から習得するにはかなり苦労されたのではないでしょうか…?
佐藤さん:全くの未経験で入社し右も左もわからない状態でした。重要部品を担当することもありましたが、当然ミスすることも多かったですよ。。でも、振り返るとその失敗があるから今があると感じますね。マシニング業界のスキルは網羅できましたし、良い経験です。
ーー見学の際にも高速でプログラム入力をされていましたが、それも今までの苦労なしには得られないスキルですね…!
この仕事に向いている人ってどんな人?
ーーこのお仕事はどんな方に向いている、というイメージはあるでしょうか?
佐藤さん:バイクや車いじりが好きな方やDIYが得意な方、長く働いてスキルアップしたい方に向いていると思います。また、注意深く確認し疑問に思ったことはすぐに相談することも大切ですね。
試作品を作る際は図面があいまいなことが多いので、自分の思い込みだけで作ると失敗することも多いです。また、プログラミングの際にも小さなミスが大きなミスにつながってしまうため、注意力は必要になりますね。
他社と比べた三和製作所のいいところって?
ーー三和製作所ならではのいいところ、佐藤さんのご意見を聞かせてください。
佐藤さん:だいたい一つの製品を5日~6日で完成させるため、毎週新鮮な気持ちで仕事に取り組めます。同じ作業ばかりが続いて飽きるということがないので、ここは他社にないメリットだと思います。
また必要な資格があれば、受験料や教材などの資格取得に必要な費用は会社が負担します!経験者の方には遠方からも応募できるよう「UIターン」という福利厚生があり、引っ越し費用や最初の家賃の一部を会社から補助します。
未経験の方ですと、前職が調理師、不動産関係、配送員など、全くの異業種から入社された方もいますよ。最初は先輩と一緒に作業していただきますので安心して働いていただけます!
ーーなるほど! 全然違う業界から転職される方がいるなら、いろんな先輩方の経験を参考にできますね。
次のステージは宇宙!?三和製作所の未来
ーー今後の会社としての目標や、挑戦したいことはありますか?
佐藤さん:現在は自動車の部品試作・量産がメインですが、5年ほど前から航空宇宙業界にも参入を考えており、参入に必要な「JIS Q 9100」という規格の取得のため着々と準備を進めているところです!
ただし、JIS Q 9100の取得はかなりハードルが高く…(苦笑)現在は取得のための土台を少しずつ作っています。
目標は、数年後には航空機やロケットの部品の製造を始めることです。参入にあたっては工場も手狭になるため、航空機専門の新工場も設立したいですね。会社の更なる発展を目指していきます!
ーー宇宙規模のお仕事!夢があってかっこいいですね。今日は一日、楽しく金属加工について深く知ることができました!ありがとうございました。
まとめ
今回特に印象深かったのは、金属加工は想像以上に緻密であったこと。0.001ミリ単位のお仕事を高精度で提供しお客様の期待に応え続け、また私たちの生活も支えてくださっていることを知り感動しました。
また「航空宇宙業界」への参入という目標について、熱くそして楽しそうに話してくださった佐藤さん。私たち編集部も、話を聞きながらとてもワクワクしてしまいました!数年後、航空機専門の工場設立が楽しみですね。
株式会社三和製作所で「社会を支えるものづくりをしたい!」と興味を持った方、ぜひ一緒にチャレンジしてみませんか?
制作:工場タイムズ編集部
写真・取材協力:株式会社三和製作所