2022年6月開催の「日本ものづくりワールド」。出展企業の一つ、株式会社サンステラは3Dプリンター関連製品の輸入・販売事業を主体とする企業だ。
これまで、主に企業や教育現場で使用されてきた3Dプリンターは、さまざまな分野で利用されるようになり、一般家庭でも利用される時代になった。
株式会社サンステラでは、一般家庭で利用しやすい低価格の3Dプリンターを提供し、サステナブルな製品も取り扱っている。今回、3Dプリンターの販売に関わっている担当者の方にお話を伺った。
低価格を実現した3Dプリンター
最初にご紹介いただいたのは、CrealityのSermoonシリーズ「Creality 3D Sermoon D1」で、10万円以下で購入できる他社にはない低価格を実現した製品だ。3DプリンターCreality 3D Sermoon D1は、組立済みで3Dプリンター初心者でも使いやすい。
この3Dプリンターの魅力は、価格や使いやすさだけではない。品質の高さやサポート体制も魅力だ。中国製のため、欠陥が多いというイメージや利用者の声を受け、製造工場に品質を高めるように促し、高品質化を実現した。
さらに中国製やアメリカ製の3Dプリンターが多いなか、電話やメール対応など日本語で対応できる体制を整え、お客様が安心して使用できる環境を整備したことで、利用者も増えたという。
製品の特徴
Creality 3D Sermoon D1の特徴を伺ってみた。
まず、四方をアルミ合金製のフレームとアクリルパネルで囲んだ洗練されたデザインで、やけどやけがを防ぐことができる。造形エリアは、280×260×310mmという大きさも特徴。2つのアームでZ軸を保持しているらしく、より高い精度と安定性を実現している。
この3Dプリンターの仕組みは、リールで巻かれた樹脂を200度の熱で溶かして、ソフトクリームのように0.1mmずつ積層していく。1つの部品を作り上げる時間は大きさにもよるが、だいたい1時間に1cm積層していくとのこと。
造形に必要な樹脂は、PLA樹脂はもちろん、ABS樹脂、TPU樹脂などさまざまな種類のものを使用できる。
教育機関へ導入
文部科学大臣が訪れて、この3Dプリンターを評価してもらったという逸話も伺った。
株式会社サンステラは、富士電機ITソリューション株式会社と提携し全国の学校に導入の提案をしている。従来は各学校に1台導入されていればよいという考えが主流であったが、いまは生徒8人程で1台用意するほど、教育機関での導入が進んでいるという。
学校では、主に技術の授業でこの3Dプリンターが使われている。授業、パソコン教室で子供でも簡単に図面を起こせる「簡単お絵描きソフト」を使って、作りたいものを描いてSDカードに落とし、3Dプリンターに入れてボタンを押して造形。先生は生徒に何を作りたいかを聞いて、結果をレポートに書かせている。
このように、3Dプリンターを使って、図面描きから製造までのモノづくりの一連の工程を学べるようになっているのだ。ただ、教育機関や一般家庭で3Dプリンターが気軽に利用できるようになったことで、キャラクターのフィギュアなどを簡単に作れるようになってしまうため、権利関係には注意しなければならない。
環境に優しいフィラメント
3Dプリンターを使う上で欠かせないものが、材料となるフィラメントだ。株式会社サンステラでは、「Polymaker」というメーカーのフィラメントを取り扱っている。
色や材質が異なるさまざまな種類のフィラメントがあり、特に人気なのがPolyTerraPLAだ。バイオプラスチックをベースに設計された次世代フィラメントで、表面が滑らかで上質な仕上がりになる。このほかにも、植物由来で環境に優しいPolyLitePLAなどもPolymaker製フィラメントの特徴だ。
また、約20種類の樹脂を取り扱っており、カラーバリエーションも豊富だ。「キャンディ」や「ウッド調」など、キャッチーなネーミングがされている。
このように、フィラメントにはさまざまな材質があるのだが、それぞれ強度も異なるため、作りたいものの強度によって使い分けることが必要だ。また、最近では環境を意識して「段ボール製のリール」を使用し、廃棄するプラスチックの減量、捨てやすくする工夫等も業界内ではトレンドのようだ。
3Dプリンターの可能性を信じて挑戦を続ける
以前は企業や教育機関で利用されることが多かった3Dプリンターだが、近年では個人で利用する割合も増えており、企業と個人の使用割合は半々くらいになっているという。
他社の3Dプリンターの性能もよくなっており、個人でも購入しやすい価格帯の製品がネットで簡単に購入できるようになったことも、要因の一つだ。3Dプリンター業界でも、日々刻々とニーズは変化し、それに応じて技術も進歩し続けている。
株式会社サンステラでは、これらの変化に柔軟に対応し、顧客に付加価値を感じてもらえるオンリーワン企業を目指し、3Dプリンターの可能性を信じてこれからも挑戦を続けていくだろう。
取材先:株式会社サンステラ
URL:https://sunstella.co.jp/
制作:工場タイムズ編集部