2022年6月に開催された「日本ものづくりワールド」の工場設備・備品展。
出展企業のひとつである株式会社クボタは、我々の生活と密接に関わっている食料・水・環境の領域において、農業機械の開発・水インフラの設計からメンテナンス・社会基盤や産業基盤を支えるなど、多彩な製品・技術を用いた幅広い事業展開を行っている。
今回は、企業ブースにて展示されていた業務用加湿空気清浄機の「ピュアウォッシャー」について話を伺った。
「ピュアウォッシャー」とは
「ピュアウォッシャー」とは、水を使って空気をキレイにする新しいタイプの空気清浄機である。
床面積約100~200㎡という広い空間を1台で対応することができ、空気清浄・除菌・加湿・消臭まで可能というものだ。
一般的にはフィルターだけを使用した空気清浄機が多いが、この「ピュアウォッシャー」はフィルターに加えて水を使うという大きな特徴がある。
機体の中で水(ミスト)と空気を効率的に接触させるというエアワッシャ技術により、空気中の微細な浮遊物や、ガス状物質を除去する。
さらに、ミストが捉えたウイルスや菌は、機内で生成した微酸性電解水という除菌効果のある機能水で不活化する。
エアワッシャ技術と乾式フィルタとの2段構えで空気清浄・除菌、水を使用するという点から加湿、空気中の臭いの元となる水溶性ガス(アンモニア、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン)を取り除く消臭、この4つの機能がある。
さらに、機内で生成された微酸性電解水を取り出し、身の回りの除菌に使用することもできる。
もう一つの特徴として水の補充が不要という点がある。導入時の水道工事が必要となるが、「ピュアウォッシャー」は水道に接続して使用するため、一般的な加湿器であれば発生するタンクへの水の補充が不要になるのだ。
オフィスや商業施設・医療施設など広い空間では、小型タイプを複数台管理するよりも手間もかからなくなり良いというわけだ。
小型化しても効果をそのままに
「ピュアウォッシャー」に採用されているエアワッシャ技術は、もともと工場のクリーンルームといった大型の空調機に使用されている技術だそう。
大きな空調機に入っている技術を、オフィスなどで使用するようなサイズの「ピュアウォッシャー」に入れるという点が課題であり苦労した点でもあった。
機能・効果を維持しながらも必要最低限のサイズまで小さくすることで、パブリックスペースに安心をもたらしているのだ。
”水”から始まったクボタだからできること
テレビCMで見かけるような、農業機械や建設機械のイメージが強い株式会社クボタだが、「ピュアウォッシャー」をはじめとする空調機のような製品も世の中に普及している。
クボタの創業期は水道用鉄管の製造から始まったといっても過言ではない。コレラウイルスなど伝染病が流行していた当時、キレイな水を届けるために水道管を作ったことが基礎となっている。
改めて「ピュアウォッシャー」について、担当者はこう話す。
『今は農業機械とか建設機械というイメージが強くなっていますが、昔から水に関わる事業というのを、ずっとやらせていただいておりました。
今もクボタ空調株式会社という会社がありますが、実は50年ほど前からオフィスやビルなどの業務用空調機に関わる事業もやっております。特にこの「ピュアウォッシャー」においては、これまでの空調の技術と水の歴史を融合した製品となっています。』
株式会社クボタが創業以降培ってきた技術によって、様々な場面で我々の生活は支えられている。
外出先の空気は、この「ピュアウォッシャー」でキレイにされているかもしれない。
水から始まった、空気をキレイにするこの技術に、ぜひ注目してほしいと思う。
取材先:株式会社クボタ
URL:https://www.kubota.co.jp/
制作:工場タイムズ編集部