梱包(読み方:こんぽう)は、商品や荷物を傷つけないように緩衝材やダンボール箱で包むことを指します。
本記事では、「梱包」がどのような意味を持っているのか、似たような言葉である「包装」との違いから、詳しい梱包方法まで詳しく解説していきます。
梱包の意味とは?包装との違いは?
梱包とは、ダンボールや発泡スチロールなどの緩衝材を使用して丈夫に包むことを意味します。
これと似た言葉に「包装」がありますね。
包装とは、梱包が”丈夫な荷造り”なのに対して、包装は”装飾”的な意味合いを持ちます。本を買ったときやデパートで買い物をしたときなど、商品を紙で包んでくれますよね。プレゼントであれば、リボンなどでかわいらしくラッピングをしてくれますし、その場で持って帰るのであればこのような「包装」で十分だと言えます。
しかし、オンラインでの買い物や、電気屋・家電量販店などで家電を買ったときなど、買ってもその場で持ち帰れないものに関してはどうでしょうか? 当然、家まで輸送してもらうことになります。その際は包装のように、ただ紙で包まれているだけでは、輸送中のトラックが揺れたときなどにキズがついてしまうかもしれません。そのため、外部の衝撃から保護する必要があるものの場合は、梱包をして丈夫な荷造りをするのがベストです。
あなたの買ったものが、緩衝材と呼ばれるプチプチや発泡スチロールに囲まれた状態で家に届くことがあるでしょう。
ダンボールを開けると、隙間を埋めるように緩衝材が配置され、商品が守られています。これはまさに、輸送中の破損などを防ぐための荷造りがされている「梱包」だと言えます。そして梱包がされているからこそ、買ったものを無事に受け取ることができているのです。
梱包方法の種類は?
梱包は目的・配送方法などによって適切な方法があります。
- ダンボール梱包
- 木枠梱包
- スチール梱包
- 真空梱包
- スキッド梱包
- バンドル梱包
- パレット梱包
ここからは、それぞれの梱包方法について確認していきましょう。
1.ダンボール梱包
ダンボール梱包とは、名前の通りダンボール箱を使用した梱包方法のことです。
ダンボールは安価であるだけでなく、新品のものであれば一定の強度もあるというメリットがあります。
ただし水には弱いことから、悪天候時の輸送や水にぬれると故障してしまう精密機器などの梱包には向きません。
2.木枠梱包
木箱梱包とは、クレーと箱やすかし箱と呼ばれる木箱を使用した梱包方法のことです。
ダンボールに比べると若干割高ではありますが、その分強度は格段に上がるため、航空便や船便で輸送する荷物を梱包する際に使用されることもあります。それに加え、木箱には物品の形や大きさに合わせた加工がしやすいというメリットもあります。
3.スチール梱包
スチール梱包とは、箱や容器がスチール製のものを使用した梱包方法のことです。
「2.木枠梱包」と同じで、重たい物を発送するのに適しています。
近年、木枠梱包は世界的に検疫規制が厳しくなっているため、検疫処理が必要のないスチール梱包は注目され始めました。
4.真空梱包
真空梱包とは、真空に近い状態で梱包する方法で、プラスチックフィルムやラップを使用して空気を取り除きます。
メリットとしては、空気(酸素)を取り除き、内容物の化学的な変質を防ぐことができます。そのため、食品であったり繊細な工業製品の発送に適しています。
5.スキッド梱包
スキッド梱包とは、スキッド呼ばれる土台の上に発送物を積む梱包方法のことです。
大きくて重い荷物の発送に適しています。
6.バンドル梱包
バンドル梱包とは、頑丈な素材でできたバンドルで発送物を固定する梱包方法のことです。
配送中の荷物同士の接触は避けられないため、鋼材や鉄材といった多少の衝撃では傷つかない荷物の発送に適しています。
7.パレット梱包
パレット梱包とは、プラスチック製や木製の荷台(パレット)に、フィルムで包装した発送物を積む梱包方法のことです。
側面が保護されていないので、輸送のみを目的とした簡易的な梱包方法です。
主な梱包方法
梱包方法は梱包する物品の種類や形などによって異なりますが、基本的な手順は以下のようになります。
梱包材を選ぶ
まずは外装として梱包材を選びましょう。この際は内容物の壊れやすさなどから、十分な強度があると考えられる梱包材を選ぶことが重要です。ただし、強度が高いものほど価格も高いですから、無駄なコストをかけないということも意識したほうがよいでしょう。
緩衝材を用意する
梱包材を選んだら、続いては内部に入れる緩衝材(内装)を選びましょう。緩衝材には「プチプチ」と呼ばれることもあるエアパッキンや、包装紙や再生紙を利用した紙製のものなどがあり、梱包材と同じように強度やコストを考えながら選ぶのがおすすめです。
代表的な緩衝材には下記があります。
発泡スチロール
強度の高い緩衝材で荷物を固定しやすいことが特徴です。
家電や家具といった重たくて大きな荷物に適しています。
エアークッション(エアピロー)
中に空気の入ったビニール素材の緩衝材です。衝撃を和らげやすく、梱包する箱の隙間を埋めやすくもあります。
食器類や小さな電化製品などに適しています。
ポリエチレンシート(ミラーマット)
シート状の緩衝材であらゆる形の荷物に対応でき、加えて荷物を包み込んだり・丸めてすき間を詰めたりなど、様々な方法を用いて衝撃を緩和させることができます。
隙間を空けずに詰める
梱包材と緩衝材が決まったら、物品を梱包材の中に入れ、空いた隙間には緩衝材を詰めるようにしましょう。ただし、陶器などのような特に壊れやすいものは緩衝材を入れすぎてしまうとその圧力によって破損してしまうこともあるため、注意が必要です。
重量に応じて、ガムテープを頑丈に貼る
物品と緩衝材を詰めたら最後にガムテープで封をします。この際には重量に応じてガムテープを頑丈に貼る必要があるため、一般的な「十字貼り」だけでなく「H貼り」などの方法も試してみるとよいでしょう。
下記はダンボールで梱包する際のガムテープの貼り方です。こちらも参考にしてみてください。
十字貼り
ダンボールの底面の縦中心部分に、漢数字の「十」を描くようにして、ガムテープを貼る方法。
H貼り
縦中心部分に加えて、「H」の文字を描くように、側面の両端部分のすき間(合わせ目)にもガムテープを貼る方法。すき間からごみが入ってしまったり小さい虫が入り込んでしまうのを防ぐことができます。
一字貼り
漢数字の「一」の文字を描くよう、一本線でガムテープを貼る方法。
キの字貼り
一字貼りのやり方に加えて、カタカナの「キ」を描くように、底面の中心部分の数センチ両側に2本のガムテープを貼る方法。
米字貼り
十字貼りのやり方に加えて、中心が交差するよう「×」の形でガムテープを貼る方法。
梱包の仕事とは?
梱包の仕事は、出荷される商品をダンボールなどへ詰めていく仕事で、工場や倉庫、あるいは物流会社の配送センターなどで行われています。その際、入れるべき商品や、それに同梱するもの、緩衝材の種類、それらすべてを入れる順序など、あらかじめ手順が細かく決まっています。そのため、誤った手順で商品を入れないように注意しながら作業を進める必要があり、また長時間立っていることも多いので、休憩時間に十分体を休めるなど体調管理も大切です。
なお、梱包すべき商品数は日によって異なります。お中元やお歳暮、あるいはクリスマスなど買いものが増えるシーズンは、梱包するものも増える傾向があります。すなわちシーズンによって業務量に波があることが多いです。
また梱包の他にも、関連業務として「検品」や「仕分け」などがあります。それらのほとんどは分業化されていますが、職場によっては梱包だけではなく、それらの仕事を兼任して担当する場合もあります。
梱包の仕事では正社員だけではなく、派遣やバイト、パートなど、多くの方々が活躍しています。特に資格などを求めるものではないため、未経験からでもチャレンジすることができます。
梱包の魅力
梱包の仕事において、複雑な作業はあまり発生しません。はじめに仕事を覚えれば、その後は比較的スムーズに仕事をすることができます。しっかりとこなせるようになるまで、しばらくは時間のかかる仕事が多いですが、専門的知識なども必要ありません。複雑な作業を覚えることなく、手先を使って働くのが好きな方には魅力的な仕事だといえます。
また梱包という仕事は、多くの人へ価値を与えられる仕事でもあります。梱包された商品は、国内はもちろん、海外へも届けられます。買った商品がキズ一つなくきれいな状態で届くことで、受け取った方はうれしい気持ちになります。配送時の状態そのままに配送先に商品を届けて、喜んでもらうこと。そのために梱包の仕事は存在しています。
問題なく配送することは、販売側の信頼に関わることです。そのため、梱包の重要度はとても高いのです。物流において、なくてはならない仕事だと言えるでしょう。
まとめ
配送中などで起こる外部の衝撃から商品を守る「梱包」。また、一般の方々が引っ越しのときにする”荷造り”も梱包です。日々の生活において梱包はとても身近なものと言えます。一方で、その仕事について詳しく知っている方は多くはないでしょう。工場や倉庫では、作ったものをいろいろな場所へ送り出します。私たちの家かもしれませんし、デパートかもしれません。そのため、工場や倉庫には梱包の仕事があるのです。
そして普段意識することはないかもしれませんが、実はとても多くの方々が働いています。そのおかげで、私たちは買ったものを安心して受け取ることができています。梱包の仕事は、最低限のことを覚えれば大抵の作業をすることができます。デスクワークでじっとしているよりも、手先を動かしながら決まった手順で仕事をすることが好きな方に向いている職種といえるでしょう。
制作:工場タイムズ編集部