女性だけでなく男性も香水を使っている人がたくさんいます。普段何気なく香水を使っているという人も、香りが何からつくられていて、どんな風に香水が製造されているのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
実は、人類が香水を使い始めたのは、今から5000年以上も前の紀元前3000年頃と言われています。それだけ長い歴史があるにもかかわらず、その製法や主原料についてあまり知られていないなんて不思議だと思いませんか?
今回は、私たち人類と密接な関係を持つ香水の謎や製造方法をご紹介します。
香水とは?
香水の歴史は、その原型である香料から始まります。まず「香水の歴史」と「香水の種類」についてお伝えします。
香水の歴史
冒頭でご紹介した通り、香水が歴史上で初めて登場するのは紀元前3000年頃。メソポタミアに住むシュメール人たちが、王様が亡くなった際、その亡骸(なきがら)に香料を塗り込み、ミイラにして葬ったのが最初と言われています。
宗教的なアイテムとして用いられていた香水を、今のようなファッション感覚で身につけるものとして世に広めたのが、世界三大美女としても有名なクレオパトラです。彼女はエジプト王妃としてだけでなく、「全身にバラの香りをまとうことに成功した、歴史上最初の人物」としても、数々のエピソードを残しています。
香水を愛した人物として、もう一人忘れてはならないのが、太陽王として名をはせたルイ14世です。彼は自身の宮殿に調香師を住まわせるほどの香水好きとして有名でしたが、このエピソードには裏話があります。一説によると、当時のヴェルサイユ宮殿ではトイレが不足しており、客人たちが皆、そのあたりで用をたしてしまっていたことから、消臭用に香水を使っていたのではという噂が残されているのです。用途はともかく、当時の王族や貴族らによって一大ブームを巻き起こした香水は、次第にヨーロッパから世界各国へと伝わっていき、いろいろな技術革新を経て、現在のような大量生産ができる合成香料の発明へとつながっていきました。
香水の種類
香水の種類は、「香料」と「濃度」により分けられます。
「香料」について
香料とは、文字の通り香りを生成するために用いられる素材のことを言います。かつては「天然香料」と呼ばれる、花や果実の香りを原料とする植物性の香料や、ジャコウジカなど一部の動物から分泌される香りを原料とする動物性香料が主に使われていましたが、香料の製造技術が発展したことや、動物性香料を求めて、ジャコウジカなどの乱獲が問題となったことから、今では化学的に香りをつくり出す「合成香料」が広く使用されるようになってきました。
「濃度」について
香水は香りの濃度によって名称が分けられています。呼び方を覚えておくことで、その香水がどんなシーンに適したものなのかを一目で判断することができるようになります。「パルファン」…最も香りが濃く、少量で長時間香りが持続する。値段は高め。「オーデパルファン」…パルファン同様、少量で長時間香りが持続するが、値段は控えめ。「オーデトワレ」…香りの濃度はそこまで濃くないため、日常使いに適している。「オードトワレ」とも呼ばれる。「オーデコロン」…香りの濃度は薄く、シャワー感覚で気軽につけられる。
香水はどうやってつくられているの?
香水は、工場でどのように作られているのでしょうか?続いては、香水の製造工程をご紹介します。
原料の選定
香水の製造は、まず原料の選定から行います。たとえばバラを原料にする場合は産地や品種、さらにはそのバラのどの部分を使用するかによって香りや製造方法が変わるため、事前に用途に合った香りのイメージを固めておきます。
抽出
次は香りの抽出作業を行います。植物性香料の抽出によく用いられるのが「水蒸気蒸留法」です。これは、植物を蒸留器に詰めて水蒸気で蒸留させる方法です。それ以外にも果皮をローラーにかけて絞り出す「圧搾法」や、ジャスミンをはじめ熱に弱い原料の香りを油脂類に吸着させる「油脂吸着法」など、使用する原料に応じて抽出法を変えていきます。
調合
香料の抽出が完了したら複数の香料をブレンドする調合作業を行います。香料の割合が少し変わるだけで全く違う香りができてしまうので、オーダー通りの香りに仕上げるために、あらかじめ決められた量の香料を配分していきます。ブレンドした香料にエタノールと精製水を混ぜ合わせれば香水の完成です。
メンズ香水を上手に使おう!
香水を使用している男性は珍しくありません。最近では、男性用の商品バリエーションも豊富になってきました。最後に、男性が香水をつけるときに注意すべき点や、香りで好感度を上げるためのポイントをご紹介します。
香水はつける量と選び方が重要
周りに「香水の匂いがきつ過ぎて苦手だな」という人はいませんか?廊下を通った後や、部屋を使った後、いつまでもその人の香りが残っていたりすると、何となく不快感を覚えてしまいますよね。香水を上手につけるポイントは「周囲への気遣い」です。正しいつけ方や選び方を覚えて、上手に香水を使いこなしましょう。
量について
香りや種類を問わず、男性が香水をつける際にはワンプッシュが適量です。香り方の目安は「ほのかに香る程度」が無難。常に自分の香水の匂いがわかってしまうような場合はつけすぎです。つけすぎてしまった場合は、アルコールや消毒エタノールを含ませたコットンで、つけた部位を軽く拭き取ると、匂いを抑えることができます。
つけ方について
香り過ぎないようにするためには、鼻に近い位置に香水をつけないことが鉄則です。また耳の後ろは体温が高く、香りを放ちやすい部位であるため、避けたほうが良いでしょう。自然に香らせたい場合は、ひじの内側や左胸部分。ほのかに香らせたい場合は、ウエストのほか、ひざの裏側や足首がおすすめです。また、香りを長持ちさせるため、つけた直後にこすりつけることは避けましょう。香りの粒子が壊れてしまい、香水本来の香りが損なわれてしまいます。
香水の選び方
お葬式や病院、レストランや和食店、試験会場など、周囲の人にとって香りが迷惑になるような場所では、香水をつけることは避けましょう。また、上記以外の場面においても、TPOを踏まえて香水をチョイスすることが重要です。商談などのビジネスシーンでは、好き嫌いが分かれにくい爽やかな香りを選ぶなど、場の空気や雰囲気に応じた香水選びで好印象を残しましょう。ちなみに、香水と汗は相性が悪く、混ざると不快な匂いに変化してしまうため、夏場につける場合や、汗をかきやすい体質の人は、デオドランド製品を使ってまず汗を抑えるようにしてください。
進化し続ける香水の製造方法
紀元前から現代に至るまで、香水は人類の生活の進化とともに製造工程を発展させ、香りや用途のバリエーションを増やしてきました。今や香料の種類は数千種類以上を数え、その配分や組み合わせを変えることで無限の香りを生み出せるようになりました。次に流行する香水は、一体どんな香りで私たちをどんな気分にさせてくれるのでしょうか?香水に興味がある人は、デパートの香水売り場にあるサンプルをワンプッシュ体につけてみて、自分に合う香りを探してみてはどうでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部