「塩化ビニル」という言葉を聞いたことはありますか?
言葉自体には、なじみが薄いかもしれませんが、「ホース」「チューブ」「パイプ」「文房具」など、私たちの生活の身近なところで幅広く活用されています。最近では、塩化ビニル製のパイプがインテリアの中に取り入れられることもあります。
今回は、塩化ビニルの特徴やメリット、塩化ビニル製品を使ったインテリアについてご紹介します。
塩化ビニルって何?
そもそも、「塩化ビニル」とは何を指すのでしょうか。まず塩化ビニルの基礎知識についてお伝えします。
一般的な塩化ビニルとはプラスチックの一種で、「塩化ビニル樹脂」「ポリ塩化ビニル」、さらに「塩ビ」などと呼ばれます。塩化ビニルは1931年にドイツで誕生し、日本では1941年に初めて生産されました。塩化ビニル樹脂をもとに作られた「塩ビ製品」は、硬い「硬質塩ビ製品」と軟らかい「軟質塩ビ製品」に分けられ、それぞれ幅広い用途に使われています。塩化ビニルが持つ特性としては、長期間にわたり強度を維持できる安定性、劣化しにくい耐久性、優れた接着性などが挙げられます。また、ほかのプラスチックが可燃性であるのに対し、塩化ビニルは例外的に、燃えにくい難燃性を持っています。
塩ビ製品は身の回りにたくさんあります。メジャーなものを挙げてみると、食品を包装するラップフィルムや、靴やカバンの素材として使われる合成皮革、文房具、床材や窓枠などの建築資材、水道管などです。ただし、スーパーのレジでもらう袋はポリエチレン製の「ポリ袋」で、塩ビ製品ではありません。
塩ビパイプを使ってDIYしよう!
最近では、「塩ビパイプ」を使ったインテリアが若者向けのメディアなどで取り上げられることがあります。塩ビパイプを使ったインテリアはDIYできます。その方法をご紹介します。
塩ビパイプで作れるもの
塩ビパイプに天板を付けたり、壁に留め具を付けるなどの工夫をすれば、テーブルや棚、靴箱、電気スタンドなどのインテリアを簡単に作ることができます。塩ビパイプはもともと建築資材として使うものなので、耐久性が高く、ホームセンターなどで購入できる上、取り扱いがしやすいというメリットがあります。
塩ビパイプを使った棚の作り方
用意するものは「塩ビパイプ」「のこぎり」「専用の接着剤」「木の板」です。まず、塩ビパイプを好みの長さにカットします。パイプカッターなどを使って切ることもできますが、のこぎりである程度の長さにしたら、手で曲げて調節することもできます。次に、切った塩ビパイプ同士を接着剤でくっつけて、漢字の「月」の形になるように組み合わせ、柱を2つ作ります。作った柱を両サイドに置き、木の板を乗せてビスなどで固定すれば出来上がりです。
塩ビパイプに色を塗ってよりオシャレに
塩ビパイプを塗装して、よりオシャレなインテリアに仕上げることもできます。組み立てた塩ビパイプの骨格に白いバターミルクペイントの塗料を塗り、やすりでこすったチョークの粉を少量混ぜます。乾いたらアクリル塗料を上塗りし、パーツごとに色を付けていきます。最後に自然な色ムラを出すために濡れたウエスなどで軽くふき取れば、塩ビパイプが金属風の味わいのある色に変わります。
塩化ビニルは省エネで環境に優しい!
意外かも知れませんが、塩化ビニルは、実は環境に優しいという特徴を持っています。ここでは、塩ビの持つ優れた特徴をお伝えします。
塩化ビニルの環境面のメリット
プラスチックは石油を主原料として作っているものがほとんどですが、塩化ビニルは総原料のうち約4割しか石油を使用していません。残りの6割は天然の塩からつくられる塩素です。そのため、限りある資源である石油の節約につながっています。また、塩化ビニルが建築資材や上下水道のパイプ、電線ケーブルなどに使われている理由は、耐久性・耐食性に優れていて寿命が長いためです。その点でも環境面に貢献しています。さらに、ガラスや金属、ほかのプラスチックなどに比べて製造時に排出する二酸化炭素の量やエネルギー消費量が少ないため、地球温暖化を防止したり省エネルギーの素材としても認められています。
塩化ビニルはダイオキシンの原因ではない
以前、ゴミを不完全燃焼させたときに発生する「ダイオキシン」の原因が、塩化ビニルにあるのではないかと問題視された時期がありました。しかし、都市ゴミ(都市地域から発生する一般的な可燃ゴミ)の塩化ビニルの含有率はわずか1%であることに加えて、ダイオキシンの構成元素である塩素は、生ゴミや木、紙などを燃やしたときにも発生することがわかりました。その後、焼却炉の改善が全国的に行われ、ダイオキシンの発生量は減少しました。つまり、何を燃やすかではなく、燃やし方がポイントだったのです。また、適切な処理をすれば、塩化ビニルがダイオキシンの発生に影響を与えることはほとんどないこともわかっています。
塩化ビニルは、安全性や耐久性に優れた地球に優しい素材
塩化ビニルは、安全性や耐久性に優れているだけでなく、省資源・省エネに貢献する環境に優しい素材として、いろいろな分野に使用されています。また、日本のみならず世界中で採用されている素材の一つで、身近な製品だけでなく、医療機器などにも使われています。今後も私たちの生活の中で幅広く活用されていくでしょう。興味のある人は、塩ビパイプを使ったインテリアをDIYしてみてはどうでしょうか?
制作:工場タイムズ編集部