工事現場において大きな荷物の運搬に欠かせないクレーン。マンションの建設現場で、見上げるような大きなクレーンを見かけたことはありませんか?クレーンは屋外で良く使われている形のモノだけでなく、工場内で使われているモノもあります。
今回は、そんなクレーンを操作するために必要な資格をご紹介します。どういった資格なのか、一般的にはわかりくい資格の違いから、取得までの流れと合わせてご紹介します。
クレーン操縦のための資格はなにがある?
クレーンを操縦するためには、いくつか資格があります。
玉掛け技能講習
玉掛技能講習とは、クレーン作業のとき、クレーン操縦とは別に必要な資格です。荷重1t以上のクレーンや移動式クレーンを使う際、吊り上げるモノの掛け外し作業を行うための知識や技術を習得します。このモノの掛け外しをする動作を「玉掛け」と呼びます。
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーンとデリックの両機種を取り扱うための知識と技術を習得する免許です。デリックとは、ワイヤーロープを操作することによって荷物を吊り上げる機械装置のこと。現在では台数が減りつつありますが、日本でも200台ほどあると言われているため、限定なしの免許を持っていることで、いざというときに重宝されるでしょう。
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
「クレーン・デリック運転士免許(限定なし)」と比べてクレーン限定は、クレーンのみを運転できる免許です。初級者が、少し重量の大きいクレーンを扱うことを目的としたときに、資格取得を考える免許です。
床上運転式クレーン限定免許
床上運転式クレーンとは、工場内部の天井に設置されているクレーンです。UFOキャッチャーのような形式で、工場内の荷物を運びます。そのような天井に設置されたクレーンの中でも、床上式運転は操縦者の少ない移動で運転できます。床上運転式クレーン限定免許とは、吊り上げ荷重5t以上の床上運転式クレーンが運転できる免許です。
床上操作式クレーン運転技能講習
吊り上げ荷重5t以上の床上操作式クレーンを運転する際に必要となる資格の講習です。床上操作式クレーンと床上運転式クレーンは似ていますが、異なるクレーンです。操作式と運転式の違いは、運転するときに必要な操縦者の動きです。共通点としては、どちらも荷物を運ぶときに、操縦者がクレーンと一緒に移動する形で荷物に合わせて動かなければならないことです。その点で、運転式の方が、操縦者の移動が少なくて済む構造になっています。
クレーンの運転のための特別教育
ここまで紹介した免許とは少し形式が異なる資格です。この資格を受講すれば、吊り上げ荷重5t未満のクレーンなどを操縦することができます。初心者が資格取得を考えるときには、最初にこの講習の受講をオススメします。
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どんな講習になってるの?
上記で紹介した各資格における講習はどれも形式はほとんど同じで、知識として学ぶ機種が異なります。
また、試験は大きく分けて学科試験と技術試験が存在します。学科試験は、安全衛生技術センターという国の施設が行うモノを受けます。また実技試験は、教習所で取得が可能です。
玉掛け技能講習
学科では、クレーンに関する基礎的な知識などを学び、実技では実際にクレーンを使って玉掛け作業などを行います。習得に数日掛かりますが、どこでも使える資格なので、身に付けて損はありません。
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
教習所によってクレーン・デリック運転士免許のコースを持つところとそうでないところがあります。学科試験ではクレーンの構造や操作方法に関する基本知識が、実技試験ではクレーンの運転技術が問われます。
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)と概要は同じです。デリックに関する基礎知識や運転技術などを省いた、クレーンに関する全般的な知識を学びます。
床上運転式クレーン限定免許
学科試験では床上運転式クレーンに関する知識などを学び、実技試験では実際に床上運転式クレーンを運転して講習を行います。
床上操作式クレーン運転技能講習
学科試験では、床上操作式クレーンに関する知識などを学び、実技試験では、実際に床上操作式クレーンを操作して運転技術を学びます。床上運転式クレーン限定免許よりも難易度が低いので、最初に習得するのに適しています。
クレーンの運転のための特別教育
特別教育の中では、クレーン、力学、原動機・電気に関する知識などを学び、実技教育では実際にクレーンの運転をします。
資格を取得する前に知っておきたいこと
資格を取得する前に、受講場所や料金、日数などを確認しましょう。
ここで紹介したクレーンに関する資格は、ほとんどが学科・実技を合わせても13~20時間程度となっており、2~6日程度で修了できるような内容です。また、現状持っている資格によっても受講時間や講習料などに差が出ます。
受験できる場所は、全国都道府県にあります。ただし、自動車学校によって取り扱いが別れますので、クレーンの講習が行われているのかどうかを確認しておきましょう。なかには、クレーンを専門で教えている学校もあります。
受講料は免許の種類によって異なります。玉掛け技能講習であれば、テキスト代も込みで23,000~25,000円程度で可能です。床上操作式クレーン運転技能講習の場合は、テキスト代込みで32,000円程度になります。クレーン・デリック運転士はほかの試験と比べて少し高く、学科と実技の両方を合わせると約135,000円となります。学科試験免除の場合でも約100,000円は掛かるため、受ける際には、合格できるように運転に関する知識を身に付けておきましょう。
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工場に勤務してから考えることもできる
工場で働く際には、クレーンを使う機会が多いモノ。資格がなくても働けるところはもちろんあります。興味がある人は、入門編として玉掛け技能講習もしくはクレーン運転のための特別教育を受講してみてはいかがでしょうか。
制作:工場タイムズ編集部