ロットとは?
同じ種類の製品を大量に製造や販売している会社では、製品1個当たりの利益は極めて少ないです。よって十分な利益を上げるためには、より多くの製品を製造し、それを効率的に売ることが必要。しかし、大量の製品を取り扱っていると、需要と供給のバランスを取ることはなかなか難しく、少し判断を誤るとすぐに在庫過多を起こしてしまいます。
ロットとは、このような会社において同種の製品を生産する際の最小単位として使用されている言葉です。製造や販売を行う際にこのロット数を調整することで、損失を減らし利益を上げることが可能に。また、ロットは製品の管理においても大きな意義があり、とりわけ後でご紹介するロット番号は、製品管理の現場において欠かすことができません。
一方、最小単位としてのロットの基準は、生産する製品の性質などによって異なるため一般的な取り決めはなく、製造者側が自由に決めることができます。そのため、たとえば12個の製品を販売する場合、それを12ロットとするか、1ダースとして捉え全体で1ロットとするかは、製造者側の裁量で決めることが可能なのです。
このように、ロットとは製品の種類にかかわらず多くの製造業者が使う用語であり、製品の製造・販売を効率的に行うだけでなく、生産管理も厳密に行う上でも欠かすことができません。
ロットの使い方
ロットは製品の製造や販売、管理の各工程において使われ、その各々で異なった使われ方をされています。つづいては、ロットの使い方を細分化し、それぞれについてご紹介していきます。
製造ロット
製品の製造においては、ただやみくもに製造作業を続けるのではなく、需要や受注量などから製造する製品の量を調整しなければなりません。この際に指定する製品の製造量を「製造ロット」と呼びます。この基準は在庫過多などによる損失を防ぐだけでなく、無駄な原材料費や人件費の削減においても重要となります。
また、工場によっては製造ロットの数量に基づいて生産工程を変更するなど、詳細な生産指示がされるため、工場全体の稼働においても製造ロット数を調整することには大きな意義があります。
購入ロット
製造した製品は取引先へ販売することとなりますが、この際に指定する販売数のことを「購入ロットと呼びます。製造ロットが製造者によって自由に決められるのに対し、この購入ロットは取引先との交渉によって決められることも。
この購入ロットもまた、製造者側が効率的に利益を上げる上で重要な決めごととなっています。たとえば在庫を余らせないために販売価格を安くする分、購入ロットを多く設定するといった方法でその数量が調整されることもあります。
また、この購入ロットに関しては、製造者側だけでなく取引先となる購入者側も気にかけなければならない要素の一つ。購入ロットと販売価格を調整しながら、製造者側と詳細な取引価格などに関して交渉することもあります。
最小ロット
「最小ロット」とは、ロットの考え方の中でも特に基本的なものの一つ。こちらもその考え方を製造者側だけでなく、購入者側も心得ておく必要があるでしょう
基本的に、最小ロットの数値もまた、製造者側によって自由に決めることができるようになっています。もし一つの取引先に対して30個以上販売しなければ利益が得られない製品であれば、その製品の最小ロットは30と設定することができます。
一方で、この最小ロットに関しては、購入者側に交渉の余地がある場合も。製造者側が最小ロットを30に設定した製品に関して、30個以下の数量で購入したいという場合、販売価格を上げることなどによって最小ロットを引き下げてもらえるかもしれません。
このように最小ロットは、製造者側と購入者側の双方に決定権がある場合もあり、具体的な数値に関しては交渉する価値があるといえるでしょう。
ロット管理
ロットは製品の製造や販売だけでなく、管理においても重要な存在となります。特に流通量が多かったり、製造から販売までのサイクルが短かったりする場合、ロット番号を製品ごとに割り当てることで行うロット管理は必要不可欠な作業となります。
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ロット生産のメリット
「ロット生産」は、今や製造業界では当たり前のように行われています。ロット生産がこれほど広く行われるようになった理由ともいえる、そのメリットについて挙げていきます。
最低生産個数を決めることでコストを削減できる
製造工程においてロットを調整することは、すなわち最低生産個数を決めることでもあります。このことにはご紹介したような在庫過多が発生することによる金銭的な損失を防止するという目的がありますが、生産に伴い発生するコストを削減するという目的も。
工場で機械を作動させるために多くの電気代がかかりますが、在庫過多になるほどの製品を製造してしまうと、その過程で発生した電気代もまた無駄なコストとなってしまうことなどが挙げられます。ロットを細かく指定して生産数をコントロールすると、製品そのものの材料費だけでなく電気代をはじめとしたコストの削減もできるため、結果的により多くの利益を上げられるようになります。
ロット番号を付けることで、工程管理をしやすくする
ご紹介したロット管理とは、1ダースや1カートンなど、輸送しやすい状態のまとまりとなった製品にロット番号を付けることで行われます。これにより、製品の製造から在庫としての管理、輸送、店舗での陳列、販売という一連の工程を一括して管理できるように。これにより特定の商品が出荷された後にどこの店舗に陳列されたかを調べる、といったことなども可能なのです。
また、近年ではPOSシステムの高性能化によって、1ダースや1カートンなどのような複数の製品がまとまった状態ではなく、一つひとつの製品にロット番号を付けることも可能に。それにより、複雑な管理システムの構築も行えるようになりました。
不良品を特定しやすい
ロット管理技術の進歩により一つひとつの製品の管理が可能となったことで、不良品の特定も簡単にできるようになりました。
特定の製品の購入者からそれが不良品であったというクレームがきた場合、そのロット番号を聞き管理システムで検索すると、同様の方法あるいは同じ時期に製造された製品の特定ができ、早急な回収も可能となります。
ロット管理で業務効率化を
今回は、今や製造業においては欠かすことができない「ロット」の詳細とその使い方、メリットに関してご紹介しました。
ロットは製品の製造や販売、管理を効率的に行える仕組みです。とりわけ高性能化が進むPOSシステムなどを導入すれば、より多くの利益を上げられるだけでなく、不良品の特定もスムーズに行えるようになるでしょう。そのため、リコールが発生した場合の会社イメージの失墜を防ぐ危機管理対策としても、ロット管理は大きな効力を発揮するといえます。
制作:工場タイムズ編集部