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ポリウレタン

ポリウレタンとは?劣化しやすいって本当?長持ちさせるために知りたい、ポリウレタンの特徴と劣化対策

2018/06/25公開 / 2023/09/26更新

ポリウレタンとは?何からできているの?

衣類などの身近な製品の素材として使用されることが多いポリウレタンですが、その原料が何であるかを知らない人は多いのではないでしょうか。

生地状にしてから製品に加工されることが多いポリウレタンですが、本来はイソシアネート基と水酸基を有する化合物を重付加することによって生成されたウレタン結合を有する重合物を総称してポリウレタンと呼ぶため、その形状は必ずしも生地状であるとは限りません。

また、ポリウレタンはゴムのような弾力を持つことから綿などの素材とはその性質が大きく異なり、強い伸縮性が求められる衣類の多くに使われています。また、ポリウレタンは発泡剤を加えるとスポンジ状になるという特徴があるため、防音材や断熱材として使われることも多くあります。ほかには、接着剤や塗料などに使われることも。

ポリウレタンはイソシアネート基と水酸基を有する2種類の物質が原料ですが、具体的にはポリオールとジイソシアネートと呼ばれる2種類の物質を化合させて製造されます。また、この製造過程でカルボシキ基などの官能基を併用することで繊維以外の製品を作ることもできるので、その汎用性は非常に優れていると言えるでしょう。

今やポリウレタンは私たちの生活になくてはならない存在となったものの、製造過程では高度な化学技術が使われており、決して簡単に製造できるものではありません。

だから衣類によく使われる!ポリウレタンの優れた特徴とは

私たちがいつも使っている衣類や皮革製品の多くにポリウレタンが使われていることは知っていても、ポリウレタン自体にどのような特徴があるのかはそれほど知られていません。まずは、ポリウレタンが持つ特徴の中でも、優れたものについてみていきましょう。

伸縮性がある

ポリウレタンの最も大きな特徴として、ゴムのような伸縮性があることが挙げられます。これは繊維状のポリウレタンならではの特徴でもあり、伸ばしたときの長さは元の長さの5~7倍になることも。また、伸縮性が優れたポリウレタンは元の状態にも戻りやすいことから、ゴムのように伸ばしすぎるとすぐに伸縮性が失われてしまう心配もありません。

軽い

ポリウレタンがスポンジや断熱材の原料となることからも分かるとおり、ポリウレタンはそれ自体の重さが非常に軽いという特徴もあります。そのため衣類や皮革製品に使う場合には綿などを使うよりも重さが軽くなるため、動きやすさが重視されるスポーツウェアなどにもよく使われています。

しわができにくい

衣類にしわができてしまうのは、使われている繊維の伸縮性があまりないことが原因です。ポリウレタンはかなり伸縮性があるため、たとえばポリウレタン製品を雑に丸めた状態で長時間置いても簡単に元の状態に戻ります。このように、しわができにくいという優れた性質も持っているのです。

ほかの繊維と混ぜても使うことができる

衣類のタグなどを見てみると、「ポリウレタン〇%」と書かれていることがあります。このことから分かるように、ポリウレタンはほかの繊維と混ぜて製品に使用することも可能です。そのため綿を主な素材としつつ、ポリウレタンを混ぜることで伸縮性もある製品を作るといったことも可能なのです。

実は劣化しやすい!?ポリウレタンを使った製品の弱点

さまざまな優れた特徴があるポリウレタンですが、一方でいくつかの弱点も持っています。ポリウレタンを使った製品の弱点の中でも、特に大きな2つを知っておきましょう。

寿命が2~3年しかない

特に、衣服に使われるポリウレタンは、それを着用することによって水分や大気ガス、熱、紫外線などの影響を受け、徐々に分解されてしまいます。このような現象を「経時劣化」と呼び、年間を通して着用されることが多いポリウレタンを使った衣類は、これらの物質による影響も多く受けてしまいます。なんと2~3年程度で着用できない程度まで劣化してしまうことが多く、ポリウレタンを使用していない衣類よりも寿命が短いという点は大きな弱点といえるでしょう。

温度や湿度の変化に弱く、劣化しやすい

ポリウレタンは伸縮性が優れているため、多少力を加えてもすぐに元の形状に戻ります。そのことからポリウレタンは強度が非常に優れているというイメージを持たれがちですが、実は温度や湿度の変化に対しては弱く、劣化が進みやすいという弱点もあります。

特に、ポリウレタンを使用した皮革製品の場合、雨に濡れた後に長時間そのままにしておくとすぐに表面がひび割れてしまうこともあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

こんな場合に気をつけたい、ポリウレタン製品の取り扱い方

ポリウレタンで作られた製品の経時劣化を完全に防ぐことはできませんが、経時劣化の原因になりやすい水分が付いたときに注意をすれば、長持ちさせることが多少は可能です。そこで、とりわけ注意すべき状態である、ポリウレタン製品に水分がついたときはどうすればいいのでしょうか。

洗濯

ポリウレタン製品を洗濯すると縮むことが多いため、デリケート衣類用の洗剤を使い、ドライコースを選ぶようにしましょう。洗濯ネットに入れて洗濯することも、経時劣化を防ぐのに効果があります。詳しい手順は後ほど解説します。

脱水

脱水に時間がかかると、ポリウレタン製品は縮んでしまうことがあります。これは製品の繊維が、脱水で絡まってしまうことが原因。洗濯機での脱水は短時間にして直接手でもしぼり、その分時間をかけて自然乾燥をした方がよい場合もあります。

雨に濡れてしまったとき

ポリウレタンは衣類の接着に使われることもあり、特にコートでは多くの部分でポリウレタンが接着させるために使われています。しかしポリウレタンは水分に弱いため、これら接着目的で使用されたポリウレタンが経時劣化を起こし、製品の一部がはがれてしまうことがあります。

ポリウレタンは熱にも弱いので、ポリウレタン製品が水に濡れた場合は乾燥器を使わず、タオルで水気を十分に拭くなど、なるべく自然乾燥で水分をとるようにしましょう。

ポリウレタンの衣類を洗濯する方法

ポリウレタンの衣類を洗濯する時には、正しい手順で洗濯をしないと、通常よりも早く劣化してしまう恐れがあります。ここでは、洗濯機を使う場合と手洗いで洗濯する時の2つの手順をご紹介します。

ポリウレタンの衣類を洗濯する際の注意点や生地別の洗濯方法・注意点もご紹介するので、チェックしてみてくださいね。

ポリウレタンの衣類の洗濯手順

【洗濯機を使った洗濯方法】

  1. 衣類を裏返しにして折りたたむ
  2. 洗濯ネットに入れる
  3. 手洗いまたはドライなどのコースを選択する
  4. 適切な量の水と中性洗剤を入れて洗う
  5. 10秒ほど脱水をする
  6. 風通しのよい日陰で干す

洗濯機を使う場合は、やさしい水流で洗う「手洗い」「ドライ」などのコースで洗濯するのがおすすめ。ポリウレタンは、もともと経年劣化をする素材ですが、摩擦によって劣化が早まることがあるからです。

また、ポリウレタンなどのデリケートな素材は、脱水時に繊維が絡まって生地が縮む可能性があります。そのため、脱水時間を短めにするのがポイントです。

【手洗いでの洗濯方法】

  1. 洗面器にぬるま湯を入れる
  2. おしゃれ着用の中性洗剤を入れる
  3. 5分ほど、手で軽く押し洗いをする
  4. 洗面器の水を2~3回変えて、押し洗いの要領ですすぎをする
  5. 10秒ほど脱水をして、風通しのよい日陰で干す

手洗いの場合は、ゴシゴシ洗うのではなく、やさしく押し洗いをするのがポイントです。そうすることで、摩擦による生地の劣化を軽減することができます。

静電気の発生が気になる場合は、④の後に柔軟剤を入れて3分ほど浸し、すすぎをしましょう。

ポリウレタンの衣類を洗濯する時の注意点

ポリウレタンの衣類を洗濯する時には、注意しなければいけないことがいくつかあります。生地の劣化を早めないために、注意点もきちんと確認しておきましょう。

◆洗濯表示を確認

ポリウレタンが使われた衣類を洗濯する時には、事前に洗濯表示を確認しましょう。ポリウレタンを使ったほとんどの衣類は、洗濯機で洗えますが、なかには水洗いできないものもあります。もし、水洗い不可の表示があれば、洗濯機や手洗いで洗ってしまうと、劣化が進むことになるのです。

また、ポリウレタンはデリケートな素材なので、水温や洗い方にも気をつけなければいけません。洗濯表示を確認することで、その衣類に合った洗い方ができ、少しでも長く着られるようになるでしょう。

◆干す時は陰干しで

ポリウレタンの衣類を洗濯して乾燥させる時は、陰干しがおすすめです。ポリウレタンは、紫外線・熱に弱い性質があります。そのため、日が当たる場所や乾燥機で乾燥させると、劣化しやすくなるのです。

ポリウレタンは湿気にも弱いので、日陰で少しでも早く乾燥できるように、風通しのよい日陰で干すようにしましょう。衣類を裏返しにしてから干すと、縫いしろ部分も乾きやすくなります。

◆アイロンを使うなら低温で

ポリウレタンの衣類にアイロンをかける時は、低温で行うのがベストです。そして、必ず当て布を使ってから、アイロンがけをしましょう。当て布をせずにアイロンをかけてしまうと、テカリが発生する恐れがあるからです。当て布をしても心配な場合は、衣類を裏返しにしてからアイロンをかけるのがおすすめです。

ただし、アイロンの適温は衣類によって異なり、そもそもアイロンがNGな場合もあります。洗濯をする時と同様に、アイロンがけの前に洗濯表示を確認しましょう。

ポリウレタンを使った製品別の注意点

「ポリウレタンの衣類」といっても、ポリウレタンはさまざまな製品に使われており、その製品によって洗濯方法が異なることがあります。ポリウレタンを使った製品別に、洗濯時の注意点も確認していきましょう。

◆下着類

ポリウレタンは、伸縮性があるのでほとんどの下着に使われています。ポリウレタンが使われた下着を洗濯する時は、手洗いがおすすめです。洗濯機を使うと、型崩れや生地の劣化の原因になるからです。

洗い方は、洗面器に水と中性洗剤を入れて、軽く押し洗いをし、すすぎをして風通しのよい日陰で乾かします。洗濯機で洗う場合は、下着用の洗濯ネットに入れて「弱」「手洗い」などやさしい水流のモードで洗うとよいでしょう。

◆ストレッチパンツ

ストレッチパンツは、動きやすくて快適に履けますが、ポリウレタンが使われているため、洗うと摩擦や紫外線、水分などによって劣化しやすいといわれています。

そのため、ストレッチパンツを洗う時は、洗濯ネットに入れて、中性洗剤を使って洗い、できるだけ早めに乾燥させるのがおすすめ。他の衣類と一緒に洗わずに、ストレッチパンツ単体で洗うと、さらに劣化を防ぐことができます。

◆水着

伸縮性が高いポリウレタンは、水着にもよく使われています。しかし、ポリウレタンは塩素・塩分に弱い性質があるので、海やプールで使った後の水着を濡らした状態にしておくと、生地が傷みやすくなります。

海やプールから上がった後は、できるだけ早く真水で水着を洗って、塩素・塩分を洗い流しましょう。そして、型崩れを防ぐために、両手で挟むようにして水気を切り、タオルで包んで持ち帰ってください。帰宅したら、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗うか、手洗いをして風通しのよい日陰で干しましょう。

正しくお手入れして、いつまでも大切に

今回は、衣類や皮革製品をはじめとする幅広い製品に使わるポリウレタンについて、その特徴や取り扱い方などをご紹介しました。

伸縮性に優れたポリウレタンは、ほかの繊維と併せて製品化することで、スポーツウェアのような特殊な衣類だけでなく、シャツなど普段着るような衣類の素材として使われることも可能になります。

ポリウレタンは水分や熱の影響を受けやすく、製品としての寿命も決して長くはないので、ポリウレタン製品は丁寧に取り扱ってできるだけ長持ちさせるようにしたいものです。

制作:工場タイムズ編集部

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