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シリコン樹脂

シリコン樹脂って何? 種類や製品の加工方法について教えて!

2017/02/01公開 / 2023/09/15更新

シリコン樹脂とは?

まず「シリコン樹脂とは何か?」という点とシリコン樹脂の特性についてお伝えします。

シリコンとシリコン樹脂

シリコンは別名「ケイ素」と呼ばれていて、地球上で酸素の次に多く存在している元素です。シリコン樹脂は、シリコンを原料として人工的に作られた有機化合物(2種以上の元素が化合してできたもの)のことで、普段から私たちが使用しているいろいろなシリコン製品の材料として活用されています。

シリコン樹脂の特性

シリコン樹脂には、次のような特性があります。

耐熱性

シリコン樹脂は200℃以上の温度に耐えられる耐熱性を持っています。基本的に樹脂やプラスチックは熱に弱い性質を持っているため、シリコン樹脂はその点で利便性の高いものだと言えます。

表面張力の低さ

シリコン樹脂は表面張力(縮こまって丸くなろうとする性質)が低く、撥水性(水をはじく性質)や消泡性(泡を出さない性質)、離型性(表面の粘着や焼き付きを起こさない性質)に優れています。

電気的特性

電気絶縁性に優れているので、電気配線やケーブルの被覆(ひふく)によく使われます。

シリコン製品の代表例

代表的なシリコン製品としては、次のようなものが挙げられます。

シリコンゴム(パッキン、哺乳瓶の乳首、フィギュア、人工臓器など)

シリコン塗料

シリコンオイル(ヘアスプレー、制汗剤、ハンドクリームなど)

コンタクトレンズ

コーティング剤

化粧品

医薬品

ワックス

エレクトロニクス部品

ほかには、耐熱性を活かして、ベーキングカップやトング、ヘラといった調理用品、日用品にもシリコン樹脂が使われています。

シリコン樹脂の構造が知りたい!

続いて、シリコン樹脂の基本構造についてお伝えします。

「構造」なので、ちょっと難しいかもしれませんが、なるべくわかりやすく説明します。シリコン樹脂を構成するシリコンは「ケイ素」とも呼ばれると上でお伝えしました。ケイ素は原子です。原子には「手」があり、原子の種類によって手の数が決まっています。手の数というのは、ほかの原子と結合できる数のことです。たとえば酸素なら手が2本、水素なら1本です。シリコン=ケイ素には、4本の手があります。シリコンの手は酸素(O)を介してほかの原子とつながることができます。また、「有機基」(R)と呼ばれる原子団ともつながりますが、有機基を介してほかの原子とつながることはありません。シリコンを構成する原子の組み合わせは次の4通りです。

Mユニット:酸素(O)×1+有機基(R)×3Dユニット:酸素(O)×2+有機基(R)×2Tユニット:酸素(O)×3+有機基(R)×1Qユニット:酸素(O)×4+有機基(R)×0

シリコンはこれらのユニットが複雑に組み合わさることで、シリコンオイルやシリコンゴム、シリコン樹脂といった物質になるのです。

シリコンゴムはどうやって作られるの?

最後に、シリコン製品の中からシリコンゴムを取り上げ、工場での製造工程をお伝えします。

練り工程

ロール機を使ってシリコンゴムの生材料と加硫剤(硫黄など)を練り合わせ、作りたい製品に合わせた厚みに整えていきます。

裁断工程

シート状になったゴム材料を、使用する金型の大きさや構造に合わせて裁断します。

プレス成形(金型成形)

金型がセットされたプレス機に裁断済みのゴム材料を仕込み、熱と圧力を加えてプレスしていきます。シリコンゴムのプレス成形の方法には、大きく「コンプレッション成形」「トランスファー成形」「インジェクション成形」の3種類があります。

【コンプレッション成形】(直圧成形)ゴム材料を金型の上に直接置いて成形する方法です。小ロット向きで金型代が安く済むというメリットがあります。

【トランスファー成形】(注入成形)ゴム材料を必要な量だけ手動で流し込んでいく成形方法で、外観を重視した製品の製造に向いています。質の高い製品が作れる代わりに、金型代や材料費がやや高くつきます。

【インジェクション成形】(自動注入成形)ゴム材料を自動的に計量して金型に注入するシリンダーを使って成形します。大ロットで生産をすることが可能ですが、トランスファー成形以上に金型代が高くなります。

バリ取り

型から取り出したシリコン製品には余分な材料(バリ)が付いているので、手作業もしくは自動バリ取り機を使って除去します。すべてのバリを除去すれば完成となります。

2次加工

商品によってはここからさらに「接着加工」や「裁断切断加工」「スライスカット」といった2次加工を行います。

優れた特性と多彩な製品形態で暮らしを支えるシリコン樹脂

シリコン樹脂には優れた耐熱性、撥水性、電気絶縁性があり、やわらかいものから硬いものまで多彩な製品形態に対応できるというメリットがあります。さらにコストも抑えられることから、日用品、キッチン用品をはじめ、スマートフォンのカバー、化粧品、人工臓器に至るまで幅広く活用されています。今後も用途は拡大していくことでしょう。動画サイトにはシリコン樹脂を使った工作や塗装の様子を映した動画がいくつかアップされています。興味のある人は、一度チェックしてみてください。

制作:工場タイムズ編集部

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