毎年4月から6月は健康診断の時期です。仕事をしている人にとって、年に1回行われる健康診断はとても大切ですから、毎年受けている人がほとんどでしょう。
その一方で、健康診断の内容や健康診断表に書かれている数値の見方などについては、意外と知らないことが多いのではないでしょうか?
今回は、健康診断や健康診断表の見方などの豆知識をご紹介します。
そもそも健康診断とは?
毎年1回受診する健康診断。健康診断とはそもそもどのような意味を持っているのでしょうか?健康診断を受けた数週間後、診断結果が書かれた健康診断表を受け取ります。社員は、健康診断表を医療機関で発行してもらい、会社に提出することが労働安全衛生法で定められています。会社側は健康診断表の結果をもとに、労働者の体が健康であるかどうかを調べることが義務づけられているのです。
労働安全衛生法では、既往歴・業務歴、自覚症状・他覚症状の有無、身長・体重・胸囲・視力・聴力、胸部X線写真、血圧、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図のすべての項目を、健康診断表に記載する決まりになっています。
会社員の場合、基本的には会社が指定した場所で期間内に健康診断を受けることになっています。費用は、会社側で負担です。期間内に健康診断を受けなかった場合でも、会社には健康診断表を提出しなければなりません。その場合は、自費で健康診断を受けることになります。健康診断と健康診断表の発行は保険適用外のため、5000円から1万円程度かかることが多く、場合によっては2万円以上もかかってしまうことがあります。余程の事情がない限り、会社で指定された場所で期間内に健康診断を受けたほうが良いでしょう。
健康診断の実施時期と回数は決まっています。入社したときに行う健康診断と、年に1回の定期健康診断です。社員が半年以上の海外派遣後に日本へ戻ってくる場合も健康診断を受けることになっています。また、有害な環境で働いている社員は半年に1回、健康診断を受けることが決められています。
健康診断表の見方とは?
いろいろな数値が記載されている健康診断表ですが、特にどの部分を見れば良いのでしょうか?それぞれの数値には基準値があります。基準値を外れていないか、よくチェックしましょう。
主な診断項目
視力
裸眼、もしくはメガネやコンタクトで矯正した状態で1.0以上の数値があることが適正です。日常生活に必要な視力は0.7以上と言われますから、それ以下の場合、仕事内容によってはメガネなどによる矯正を指示されるでしょう。
聴力
聴力の検査は、大きさや高さが違ういろいろな音を流して正しく聞こえているかを調べるものです。30dB未満の数値が正常と言われており、 50dB未満の場合には、軽度難聴の疑いがあります。
血圧
心臓が収縮したときと拡張したときの両方の血圧を調べ、どちらか一方でも基準値を超えた場合は「高血圧」と診断されます。基本的には収縮期血圧は150~160mmHg、拡張期血圧は95~100mmHgを超えると高血圧です。
尿・便検査
尿検査によって診断できる尿酸値は、暴飲暴食などの食生活の乱れによって上がることがあり、8.0mg/dl以上の場合は、腎臓病や痛風になる可能性があります。便に血液が混じっていないかを調べる便検査を受けた場合、陽性の結果が出ると、大腸から出血したり、大腸ポリープなどができている可能性があります。
血液検査
血液検査にはチェックしたほうがよい数値がいくつかあります。「TP」と呼ばれる総たんぱくは血液の中に含まれているたんぱく質の量で、栄養の状態をチェックする基準の一つです。6.7~8.3g/dlが目安です。「アルブミン」は血液中のたんぱく質を構成している成分で、栄養の状態や肝臓障害の有無などをチェックするための基準です。3.8~5.3g/dlが目安の基準値になります。
肝臓の働きの目安となるAST(GOT)とALT(GPT)と呼ばれる酵素は、お酒を飲んだ後や運動をした後に上がりやすく、AST(GOT)の場合は10~40IU/I/37℃、ALT(GPT)は5~45IU/I/37℃が目安で、肝臓細胞に何らかの障害が出ている場合は高い数値が出ることがあります。γ(ガンマ)-GTPは肝臓などを中心に存在する解毒作用のあるたんぱく質の分解酵素です。アルコールの過剰摂取により上がりやすく、50U/Lを超えると、何らかの肝障害の疑いがあります。
健康診断で注意すべきポイントとは?
健康診断を受ける場合、「前日の夕食は○時までに済ませてください」などと注意事項が書かれた用紙を渡されます。健康診断の10時間前から食事をしないように言われることが一般的です。理由は、食後は通常より高い数値が出るため、正しい結果がわからなくなるからです。血液検査や中性脂肪の検査を行う際にも影響が出やすくなりますので、決められた不食時間をきちんと守るだけでなく、前日の夕食は食べ過ぎないようにしましょう。
会社の中には、健康診断から逃げようとする人が必ずいるものです。理由は「健康診断は時間がかかって面倒」「自分は健康だから大丈夫」「何か病気が見つかるのが怖い」などいろいろあるでしょう。しかし、社員が健康診断を受けることは法律で定められた義務です。健康診断を拒否した場合は、労働安全衛生法に違反したとして会社から懲戒処分を受けることもあります。そのような事態にならないためにも、健康診断は毎年必ず受けるようにしましょう。
良い結果を出すためには、生活の見直しを
健康診断を受けることによって、体の異変にいち早く気づくことができます。また、基準値を外れていた場合には、再検査や早めの治療を受けることで大きな病気を防ぐことにもつながります。健康診断の直前だけダイエットをしたり運動をしても、大した効果はありません。健康診断で良い結果を出したいなら、食生活を管理し、規則正しい健康的な生活を送るのがベストです。
制作:工場タイムズ編集部