わたしたちが日々使用するエネルギーは電気、ガス、ガソリンなどです。現在、日本はこれらのエネルギーのほとんどを海外からの輸入に頼っています。それは、電気(火力発電)やガス、ガソリンを作り出す原料である原油や天然ガス、石炭などが日本では採れないからです。
近年、ロシアのウクライナ侵攻や世界情勢の影響により世界中でこれらの燃料が高騰し、わたしたちの生活にも大きく影響しています。
この記事では家計管理としての節約のため、また環境問題への取り組みのため、電気の使用を効率よく抑える対策(節電対策)について紹介します。
今日から始められる節電対策、ぜひチェックしてください。
1.電力会社を見直す
まずは電気料金がどのように算出されているか確認しましょう。多くの世帯で利用しているのが、大手電力会社が提供している「従量電灯プラン」です。
【電気料金の計算】 ※従量電灯プランの場合
電気料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金
基本料金:契約している「電気料金プラン」の容量によって決められています
電力量料金:プランで定められた単価✕各電化製品が使用した電気量で算出されます
2016年4月からスタートした電力の自由化により、利用者が電力会社を選ぶことができるようになりました。新しい電力会社も多く参入し、さまざまな料金プランやサービスを提供しています。
例えば、電力料金の基本料金が0円のプラン、決められた時間帯の電気料金が割安になるプラン、またCO2排出量が実質ゼロの電気プランなどです。
同じだけ電気を使っても契約先の電力会社を変えるだけで、基本料金が割安になる場合もあります。まずは電力会社の比較サイトから自分の居住地域に参入している電気会社の料金をシミュレーションしてみましょう。居住人数や生活サイクルから細かく比較できます。
電力会社の切り替え手続きはとても簡単で、インターネットで申し込むだけ。前電力会社の解約手続きや新しいスマートメーターの設置はすべて新たに契約した電力会社が行ってくれます。
2.契約アンペアを見直す
基本料金を抑える方法としてもうひとつあげられるのが、契約アンペアの見直しです。契約アンペアとは同時に使用できる電気の量を表しています。契約の大きさは、原則として、10~60Aで使用者の申請により変更できます。初期設定は40Aもしくは50Aがほとんどです。
自分の家の契約のアンペアを確認するには、検針票もしくは分電盤を確認しましょう。検針票の右上に記載されている「○A」が契約アンペアの数字です。分電盤はブレーカーの上に記載されています。
電化製品使用するがおおよそのアンペアは次の通りです。
例)エアコン暖房:6.6A、冷蔵庫450L:2.5A、電子レンジ:15A、プラズマTV42型:5A、ヘアードライヤー:12A、食器洗い乾燥機:13A
例えば40A契約であれば、同時に使用する電化製品の合計アンペアが40を超えないようにしなければなりません。もし、超えてしまうと安全ブレーカーが働き、一旦電気がストップします。
電気の基本料金は契約アンペアにより変わってきます。
例えば、東京電力10~60A「契約従量電灯B」家庭の月額料金プランは以下の表のようになります。
(2023年4月1日以降)
契約アンペア | 料金(税込) |
10A | 295円24銭 |
15A | 442円86銭 |
20A | 590円48銭 |
30A | 885円72銭 |
40A | 1,180円96銭 |
50A | 1,476円20銭 |
60A | 1,771円44銭 |
契約アンペアを少ないものにすれば、基本料金はお得になりますが、同時に使用できる電化製品に制限が生じます。自分の家庭で一番よく電化製品を使用する時間帯を想定して、使用する電化製品の容量や使用台数から契約アンペアを見直しましょう。以下からシミュレーションも可能です。
契約アンペアを変更する方法は使用している電力会社に連絡して、自宅にアンペア変更の作業に来てもらうだけです。作業は10分ほどで完了します。
3.電化製品の使用方法を見直す
ここからは、電力量料金をどのように抑えていけばよいか解説していきます。日常生活で使用している電化製品の使い方を少し工夫すればコツコツ節電できます。まずはエアコン、照明器具、冷蔵庫の比較的多くの電気をつかう電化製品3点にフォーカスしましょう。トータルすると年間でかなり節電&節約できることがわかります。
なお、掲載データは、一般財団法人省エネルギーセンターの実測値を使用しています。
①エアコン
随時換気を行いながら、ドアや窓の開閉を減らしましょう。レースのカーテンや厚手のカーテンを利用して外気、直射日光を防ぐようにするとエアコン効率が高くなります。特に夏場はすだれやグリーンカーテンの併用もおすすめです。
またエアコンの空気を循環させるために扇風機やサーキュレーターを同時に使用することで室内の温度差を早く一定に保つことができます。
月に1~2回のフィルター掃除、室外機周りの整理をしておくことも忘れないようにしましょう。
エアコンの節電対策 | 節電効果(年間) |
冷房時の設定温度27度→28度(9時間使用) | 約940円の節約 |
冷房使用を1時間短縮 | 約580円の節約 |
暖房時の設定温度21度→20度(9時間使用) | 約1,650円の節約 |
暖房使用を1時間短縮 | 約1,260円の節約 |
月に1~2回のフィルター掃除 | 約990円の節約 |
②照明器具
LEDライトは一般の白熱電球に比べて高額ですが、使用電力が電球に比べて80%以上の節電効果があります。また、一度購入すると寿命は長く、電球の40倍ですので、リビングなど使用頻度の高い空間の照明器具にはLEDライトの置き換えをおすすめします。
照度調整ができるものであれば、部屋の明るさに応じて照明器具の照度を調整し、電気を効率よく使用できるので節電効果が期待できます。
照明器具の節電対策 | 節電効果(年間) |
白熱電球→電球形LEDランプに取り換える | 約2,790円の節約 |
白熱電球の点灯時間を1時間短縮 | 約610円の節約 |
電球形LEDランプの点灯時間を1時間短縮 | 約100円の節約 |
③冷蔵庫
冷蔵庫は庫内を一定の温度に保つため常に稼働している電化製品です。消費電力が大きいので買い替えのタイミンがあれば節電効果の大きいものを選ぶようにしましょう。
気をつけたいことはドアを開けたままにしている時間を短くすることです。庫内を整理し、欲しいものはすぐに取り出せるように工夫しましょう。
また、熱いものは冷ましてから冷蔵庫に入れるように心がけると庫内の無駄なエネルギー消費の節約になります。
冷蔵室は冷気が一定に行き渡るようにモノを詰め込みすぎないように、冷凍室ではモノをきちんと整理しながら、なるべく隙間がないように保管すると保冷効果が高くなります。
設定温度は季節によって上手に調節しましょう。冬場は「強」→「中」に、夏場は「強」にするなど室温に合わせて変更することで節電効果もアップします。
冷蔵庫の節電対策 | 節電効果(年間) |
冷蔵室のモノを半分位減らす | 約1,360円の節約 |
開けている時間を20秒→10秒 | 約190円の節約 |
設定温度「強」→「中」 | 約1,910円の節約 |
まとめ
環境問題への取り組みから地球温暖化防止のための節電が呼びかけられるようになりました。特に電気はためておくことができないため、電気を作り出す供給量と使用する需要量のバランスが重要です。
わたしたち利用者が、日常生活で電気の利用が多い時間帯を避けて電気を使用することで電気の需要と供給のバランスを保つことができる技術「ディマンド・リスポンス(DR)」も注目されています。
まずはできることから少しずつ。
家計にもやさしい節電対策、今日からぜひ取り組んでくださいね。