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ハンダ付けのコツとは?初心者でも失敗しない方法!

2015/07/09公開 / 2023/09/14更新

ハンダ付けの作業を、中学校の授業などでやったことのある方も多いでしょう。

「配線に電気が流れない」「くっつけたのに、すぐにとれてしまう」。

これはハンダ付けをしたときによくある失敗です。上手なハンダ付けは、くっつけたモノを正しく動かし、十分な力を発揮させることができます。

「ハンダ付けは難しい」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、正しい基礎知識を持ってコツさえつかめば、ハンダ付けは誰でも簡単にできるものなのです。

そこで今回は、ハンダ付けのよくある失敗例と、そうならないためのコツについてご紹介します。

ハンダ付けの失敗あるある

良いハンダ付けは、見た目がきれいです。逆に言えば、「失敗したハンダ付けは見た目があまりよくない」ともいえます。まずは正しいハンダ付けの形を覚えることが大切です。正しいハンダ付けは、表面がなめらかでデコボコしておらず、富士山のような形をしています。

ハンダ付けをかじったことのある人なら「イモハンダ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ハンダ付けの不良を表す言葉です。「イモハンダ」とは、ハンダ本来の輝きとなめらかさがなく、ザラザラした状態になっているもののこと。加熱温度が低く、ハンダが完全に溶けないうちに、コテ先を離してしまった場合などに起こりやすいです。また、ハンダが固まらないうちに接合部分を動かしたり、熱をかけすぎたりした場合も同じように「イモハンダ」状態になります。

このほかにも、以下のような失敗例があります。

・ハンダ流れ
ハンダ付け部以外にまでハンダが流れ出てしまった状態。ハンダの温度が高すぎる、または、ハンダ付け時間が長すぎることが原因。

・トンネルハンダ一
見するとハンダがきれいに付いている。しかし、電気が流れない、あるいは引っ張ると簡単にはずれる状態。ハンダ付け直後に母体が動いたときや、ハンダ付け時間が不足していることが原因。電子回路のハンダ付けの場合、電線の酸化や汚れが原因のケースも。

・ハンダブリッジショートハンダ
付けする場所二か所がハンダでつながって、ショートしてしまっている状態。せっかくきれいにハンダ付けできても、これでは電気が正しく流れません。このままスイッチを入れたら、部品を壊してしまうこともあります。

これ以外にも多くの失敗例があります。失敗例を知っておくことは、正しいハンダ付けをする上で役に立つでしょう。

ハンダ付けのコツその1:知っておきたい基礎知識

それでは、ハンダ付けのコツを紹介していきます。上手なハンダ付けをするために、まずは、ハンダ付けの基本を知っておきましょう。基礎知識や、整えるべき道具、作業環境などについて説明します。

実は、ハンダ付けをうまく行うには「ハンダを約250℃で、約3秒間溶融させる」だけなのです。溶融とは、溶かして液体にすること。ハンダ付けに失敗するのは、温度が低かったり高かったり、時間が長かったり短かったりするからなのです。

「約250℃で、約3秒間溶融させる」には、どうすれば良いのでしょうか?一番確実な方法は、「温度調節機能つきのハンダゴテ」を使うことです。コテ先温度を340~360℃にコントロールします。コテ先の温度は最大でも360℃を超えないようにしましょう。これだけで、ハンダ付け失敗の原因の半分を占めるといわれる「加熱し過ぎ」を防ぐことができます。

もう一つ重要なのがコテ先の掃除です。コテ先がハンダと同じ「銀色」なら、そのままでハンダを溶かすことができます。しかし「黒・茶色」になっていたら、ゴミで汚れている証拠です。使用前に、水と専用クリーナー、スポンジで、しっかりと汚れを落としてください。ただし、コテ先を掃除すると温度が下がるので、その点は注意が必要です。

また、ハンダゴテのコテ先には、「鉛筆型」「斜めカット型」「マイナスドライバー型」「ナイフ型」など、いくつかの形状があります。それぞれ用途によって使い分けると、さらに上手にハンダ付けができます。

ハンダ付けのコツその2:工程に沿ったポイント

次は、実際の工程に沿って、ハンダ付けのコツを説明します。

・ハンダゴテは充分熱くしてから使おう
ハンダゴテは電源を入れてから熱くなるまでに3~5分かかります。そのため、コテが充分に温まってから作業を始めましょう。

そして、ハンダゴテをコテ台に乗せるときは、コテの太くなっている部分を台に置くようにしましょう。そうすることで、熱が台に逃げてしまうのを防ぎます。

・コテ先を寝かせよう
一番大切な「コツ」がこれ!コテ先はとがっているので、ハンダゴテを立てて基板に当てると、とがった部分しか触れないため、伝えられる熱が少なくなります。ハンダ付けは熱を一気に伝えた方がうまくいくので、コテ先をできるだけ多く触れるように、コテを寝かせるようにして使いましょう。

・ハンダを当てるのはランドが温まってから
基板には銅色になった「ランド」と呼ばれる部分があります。ハンダ付けはそのランドに行います。ハンダ付けをするときは、必ずランドを先に温めましょう。ランドが温まったらコテ先にハンダを当てますが、すぐに溶けないこともあります。そんなときは、コテ先の温度が低かったり、コテ先が汚れていたりする場合が多いです。コテ先が汚れていたら掃除を行い、汚れていないようならランドをしっかり温め直しましょう。

・作業はなるべく風の当たらないところで
とくに夏場の暑いとき。エアコンや扇風機の風が当たる場所で作業するときは、気をつけましょう。コテ先に風が当たり、温度の調節が難しくなります。人が涼しいと感じる場所は、コテ先が冷えやすいということ。なので、コテ先に直接風が当たらないよう配慮し、コテ先の温度管理は慎重に。

ハンダ付けのコツその3:配線接合・吸い取り線

ハンダ付けには、配線接合や吸い取り線など、基盤へのハンダ付けとは異なる状況での使用や製品もあります。最後に、特殊なハンダ付け関連について、コツを交えながら解説します。

配線接合のやり方

配線どうしの接合や延長で繋ぎ合わせる際、昔からハンダ付けで接合する方法が一般的です。今は端子やコネクターで簡単に繋ぐことも可能ですが、ハンダ付けでの配線接合は接触不良が起きにくい、接合箇所がコンパクトに仕上がるなど、メリットが多くあります。

準備するもの

  • 接合する導線
  • ハンダゴテ
  • ハンダ
  • ワイヤーストリッパー
  • 熱収縮チューブ(絶縁テープ)

配線接合の手順

1 ワイヤーストリッパーで導線の被覆材を剥く

接合部分を長めに作って強度を持たせるために、ある程度の長さの芯線を出しておきましょう。また、熱収縮チューブを使う場合は配線どうしを繋げる前に、導線に通しておきます。

2 導線どうしを結びつける

簡単に芯線をねじった状態だと、軽く引っ張っただけで外れてしまうことがあります。2股に分けて結びつけるなど、強度の強い結び方で繋いでおくのが理想的です。

3 接合箇所をハンダ付けする

接合部分の芯線に2秒ほどハンダゴテを当てて温めると、ハンダが溶けやすくなり、きれいに仕上がります。素早くハンダ付けを行わないと、イモハンダになりやすいので注意が必要です。

4 熱収縮チューブや絶縁テープで接合箇所を覆う

最初に通しておいた熱収縮チューブや絶縁テープで接合箇所を覆って、絶縁したら接合完了です。ハンダが熱を持った状態で熱収縮チューブを被せてしまうと、高温によって変形してしまうので、冷めてから絶縁しましょう。

吸い取り線の使い方

ここではハンダ付けとは少し異なりますが、ハンダ付けに失敗した時や故障した電子製品の修理をしたい時に重宝する、ハンダ吸い取り線について解説していきます。

吸い取り線ってどんなもの?

細い銅線を平たい束にしたもので、表面にはフラックスがしみ込んでいます。フラックスとは、主に松やになどで作られた、スムーズにハンダ付けができるように補助する促進剤です。

取り除きたいハンダの上に吸い取り線を当てて、そこにハンダゴテの熱を加えることで、溶けたハンダを吸い上げる仕組みになっています。

準備するもの

  • ハンダを取り除きたい部品
  • ハンダゴテ
  • 吸い取り線
  • 手袋
  • ニッパー

ハンダを取り除く手順

1 吸い取り線の先端を斜め45度に切る

取り残しを防ぐため、取り除きたいハンダの幅より大きめの吸い取り線を用意します。先端に少しハンダが付いた吸い取り線を、ニッパーなどで斜め45度にカットすることで、ハンダゴテの熱が伝わりやすくなります。一度ハンダを吸い上げた部分や酸化で黒くなった部分は使えないので、切り取っておきましょう。

2 取り除きたいハンダに吸い取り線を当てる

吸い上げたい箇所のハンダの上に、吸い取り線を乗せます。この後の工程で、ハンダゴテの熱が伝わってやけどをする恐れがあるため、手袋をして行いましょう。

3 吸い取り線にハンダゴテを当ててハンダを吸い取る

ハンダと接している吸い取り線の上にハンダゴテを当てて、熱でハンダを溶かして吸い上げます。充分に熱したハンダゴテを寝かせ、素早く熱を伝えることで、熱による部品へのダメージを最小限に抑えられます。

4 吸い取り線とハンダゴテを同時に離す

ハンダを吸い上げたら、吸い取り線とハンダゴテを同時に基盤から離して、取り除き完了です。ハンダゴテだけ先に離してしまうと、熱が冷め、吸い取り線と基盤がくっついてしまうので注意しましょう。

ステンレスの場合

コツをつかめば容易に金属を繋ぎ合わせられるハンダ付けですが、ステンレスやアルミといった、一部の金属にはハンダ付けが難しいことがあります。

なぜステンレスなどの一部の金属はハンダ付けしづらい?

金属の表面には、酸化被膜という細かいサビがついています。金属が空気とふれていたり、加熱によって表面が酸化し、皮のような膜を形成します。

酸化被膜があることで、空気と金属の表面が直接ふれなくなるため、腐食などから守る保護膜としての役割を果しますが、ハンダ付けにおいては接着を妨げる存在でもあります。

酸化被膜の働きがハンダの接合を阻害してしまうので、熱するだけできれいにハンダ付けすることは不可能です。そのため、ハンダが付きやすい表面へ清浄化する働きを持つ、松やにが含まれたハンダゴテやフラックスを使ってハンダ付けを行います。

ですが、ステンレスは金属の中でも特に酸化被膜が強いので、通常のフレックスの機能があまり役立ちません。それゆえ、一部の金属にはハンダが付きにくくなるのです。

ステンレスをハンダ付けする方法

一般的なハンダ付けでステンレスを接着しても接合強度が弱く、引っ張ると簡単に外れてしまいます。ですが、ステンレス用のやに入りハンダやフラックスを使うことで、ある程度の強度を持ったハンダ付けが可能です。

ステンレス用のハンダゴテやフラックスは、特殊な活性剤などが含まれています。活性剤の働きで、通常のハンダ付けが困難だった一部の金属素材や酸化が進んだ金属を、きれいにハンダ付けできます。

まとめ

「ハンダ付け」と言えば、「難しい」というイメージを持っている人もいるでしょう。しかし、正しい知識と使い勝手の良い道具さえあれば、決して難しいものではありません。ハンダ付けをうまく行うには、とにかく「しっかり熱を伝える」ことが大切です。理想は「約250℃で、約3秒間溶融させる」こと。DIYで自宅で何かをつくるときも、もちろんこのハンダ付けのコツは共通です。ハンダ付けの成功例と失敗例を覚えておき、理想的なハンダ付けに挑戦してみてください。

制作:工場タイムズ編集部

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